ゲイを隠さなければならなかったことが引き金に…
英国に住むダニー・オークリー(Danny Oakley)とその弟リッキー(Ricky)は、少年時代、彼らの地元では有名な悪童であり、兄のダニーが12歳の時には反社会的行動禁止命令も出されていた。しかし、ダニーは自分が起こしてしまったこのような反社会的な行動は、自分がゲイであることを隠さなければならなかったことが関係していると述べている。
悪魔のような子どもたち
ダニーとリッキーの兄弟は、地元のウォールバーハントンでは「悪魔のような子どもたち」と呼ばれ、地域住民たちに恐れられていた。彼らは器物損害や放火、人種差別などで40回以上の逮捕歴を重ね、2006年、ダニーが12歳の時には反社会的行動禁止命令(Asbo)が下された。
このAsboは1999年に英国で制定され、罰則ではなく反社会的な行動を規制することを目的として設けられていた。当時、Asboが与えられた年齢としてはダニーの12歳が最年少であったという。
セクシャリティの悩み
ダニーは現在21歳になっている。彼は自分が罪を犯した理由の一つに、自分のセクシャリティを隠していたことがあるとThe Sunのインタビューの中で話している。
「僕は自分がゲイであることがわかっていて、でもそうなりたくないと思っていた。僕は犯罪者だったけれど、そうなりたくはなかった。
ゲイであることは現在刑務所に入っている弟のリッキーにも話すことができなかった。だから、僕は自分の中に押し込めるしかなかったんだ。
もしそのことが父親に知られるなどということがあったら、彼は僕をひどく嫌うだろうと思っていた。秘密にしておくことでひどく苦しんでいた僕は、14歳の時に自殺を試みた。公営住宅団地で悪党として生きていくときに、ゲイとして生きるという選択肢はなかった。私は自分を偽って生きていた。」
ダニーは父親にゲイであることが知られると、父親から勘当されてしまったという。
「16歳の時、僕がある男と関係を持っていることをおじに知られてしまった。するとおじは僕を父親のもとへと連れて行った。
父親は僕の存在を恥じていた。彼は僕に向かって『おかま』『ホモ』などといってきた。僕が心の中で秘密にしていたのは当然のことだった。僕がゲイであると彼が知った日、彼は僕のことをもう自分の息子ではないと言ったのだ。」
更生の道へ
ダニーは、2014年に刑務所を出てからというもの、心を入れ替え大学でビジネスを学んだという。現在は新しい友人たちの手助けもあって、自分自身のことを少しずつ受け入れ始めているようだ。
「僕の新しい友人たちは、僕がゲイであることで判断しない。彼らにとっては、それは僕という人間のたった一部分にすぎないんだ。僕は父親にはがっかりしたけれど、僕は自分の友人たちのことを誇らしく思っているよ。」
また、彼は自分のセクシャリティを受け入れる難しさを感じながらも、その大切さには気づいていると述べた。
「僕にはまだゲイであることを完全に受け入れるのは難しい。心の中で父親の声が聞こえてくるんだ。僕は価値のないくそ野郎だ、社会は僕を嫌っているってね。
僕は、もし自分自身を受け入れたなら、今度はなりたい自分になれるってことに少しずつ気づいているんだ。」