性別変更をトランスジェンダーの基本的人権の1つとして認める
GAY STAR NEWSによると、レバノンの上訴裁判所が初めて、トランスジェンダーの当事者に法的な性別の変更を許可した。LGBTの活動家は、これをレバノンのトランスジェンダーコミュニティにとって、そしてLGBTコミュニティ全体にとっても大きな進歩であると評価している。
トランスジェンダーの性別変更に関する審問
首都・ベイルートのジャネット・ハンナ判事は、性別適合手術を終え、女性ではなく男性としての法的な登録を望んでいたトランスジェンダー男性に対して審問をおこなった。
ハンナ判事はこのトランスジェンダー男性の主張を認めたことから、これは中東諸国においてトランスジェンダー当事者の法的権利を示す前例が出来たことを意味する。
このトランスジェンダー男性は、下級裁判所では法的な性別変更の権利を認められていなかった。しかし、昨年9月に上訴裁判所に対して控訴し、その判決が14日にくだされた。
トランスジェンダーの基本的人権
ハンナ判事は今回の判断に際して、以下の3つの基本的人権を認めた。
- 心理的・社会的な困難を軽減させるため、性別を変更する権利
- ジェンダーに関する治療をする権利
- プライバシーに対する権利
裁判所は、このトランスジェンダー男性が出生当時から性同一性障害に苦しんできており、さらに外見や精神的特徴においても、男性的であるという点を考慮して、性別変更を認めた。
また、彼はトランジションが“十分に進んで”おり、十分な説明を受けた上で性別変更を決断しているという医学的な診断書をもらっていたという。
ハンナ判事は、
「身体的・精神的な不都合により生じる困難を緩和させるため、この男性にとって必要な扱いを受ける権利は、基本的・中立的な権利であり、他者によってこの権利が侵されてはならない。」
と述べた。
「トランスコミュニティ、そしてLGBTコミュニティにとっての大きな進歩」
LGBT活動家でプラウド・レバノンというNGOの代表を務めるベルソ・マクス(Bertho Makso)氏は、今回の判決について以下のように話した。
「このような権利はこれまでトランスジェンダーの人たちに与えられてこなかったため、過去にはたくさんの困難があった。
私たちは尊厳と尊重の念を持って扱われる権利のために戦ってきており、今回の判決は、レバノンのトランスコミュニティ、そしてLGBTコミュニティの全ての人にとっての大きな進歩といえる。」