ドイツでゲイカップルが子供を持つための3つの方法

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私達がドイツに来た理由

私達がドイツへの引っ越しを決意した理由は結婚と同等の権利が保障されるパートナーシップがあること。そして、家族をつくることができると思ったからでした。ですが、ネットでドイツの養子について調べる限りでは、ゲイカップルが養子を迎えることはできないという情報ばかりでした。ところが、実際にはドイツには子育てをしているゲイカップルが存在しているのです。この事を長いあいだ疑問に思っていました。

今回、実際に子育てをしているゲイカップルとこれから子供を持ちたいと考えているゲイ男性に直接お話を伺える機会があったので、この疑問点について聞いてみました。すると意外なことがわかりました。

ドイツでゲイカップルが子育をする方法は3つあります。

  1. 養子を取る (アダプションとも表記)
  2. フォスターケア (里親とも表記)
  3. コーペアレンツ

1. 養子をむかえる

ドイツのゲイカップルが養子をむかえることについて検索すると、日本語の多くのブログサイトでは不可能であると記されています。ところが、実は2013年2月19日以降、可能となっているのです。
(参照 http://www.familien-wegweiser.de/wegweiser/stichwortverzeichnis,did=101188.html

サクセシブ・アダプションというもので、ゲイカップルの一方の子供を、そのパートナーが養子として一緒に育てることができるという法律です。ゲイカップルの一方が一個人として養子を引き取り、その後にそのパートナーがサクセシブ・アダプションを利用し、パートナーとして一緒に養子の親となることができるというものです。

もともと養子を引き取ることは環境さえ整っていれば未婚者でも可能だったため、このようなことができるのです。

2. フォスターケア

2013年2月19日以前はドイツでゲイカップルが養子を引き取ることができませんでしたが、現在は法律が変わり、ゲイカップルでも上記のようなステップを経て養子を引き取ることができるようになりました。ですが、現在でも多くのカップルがアダプションではなくフォスターケアとして子供を引き取り子育てをしています。

実親が子供を育てることができる状況であるか、そうでないかを判断するのは裁判所です。そして、裁判所が実親に子供を育てる能力がないと判断した場合、その多くの子供が養子ではなく里子として里親を探す場合が多いのです。その為、多くの子供がアダプションではなく、フォスターケアを必要としているからです。

そこで疑問なのが、アダプションとフォスターケアの違いです。

・アダプションとは一生その子供の親となる事。
・フォスターケアとは子供が成人するまでの間、保護者としてその子の面倒を見て育てると言う事 – 成人後は子供の自由となるため、子供が望めば家を出る事ができる。

このような違いはあるものの、引き取る子供の年齢なども指定することができるので、早ければ産まれてすぐの6週目の赤ちゃんを引き取ることになります。想像がつくように、赤ちゃんの時から親として面倒を見てくれた里親を親と思うのは自然のことでしょう。

また、欧米の文化では大学入学とともに子供は親から自立し、家を出て一人で暮らし始めるのが一般的です。養子として迎えた子供でも時期が来れば自立する事を考えれば、里親も養子もそう違いがないように思えます。

このような理由から養子を受け入れることが可能になった現在でも養子ではなく、里子を受けいるているカップルが多いと言うことです。

3. 子供が欲しいと望む女性と一緒に子供を作る、コーペアレンツ

コーペアレンツとは子供が欲しいと望んでいる女性と一緒に子供を作り、子育てをするというものです。ベルリンでは子供が欲しいと望む女性と男性の出会いの場をとあるLGBTの団体が提供してくれています。

そこに来る女性の理由は様々です。レズビアンアカップルでパートナーと一緒に子育てをしたいと思っている人、シングルの女性でパートナーは要らないが子供は持ちたいと望んでいる人など。また、まれに既婚の女性も来ることがあるといいます。

ですが、一緒に子供を作って子育てをする相手を探すのは結婚相手を見つけるのと同じようにとても難しいものです。子供の教育の問題やお金の問題、子供の子育てをどのくらい男性にも手伝ってもらいたいかなど。通常のカップルであれば、長い間につちかった絆と愛情で問題に直面したとしても乗り越える事ができますが、それを絆も愛情もない相手とやっていく事になるのです。そして一種の家族として、子供が独立するまでの長い時間一緒に子育てをしていかなくてはなりません。その他にも、子供を作るという点で、相手の外見や性格なども気になりますし、遺伝性の病気などを気にする人もいると思います。

ところがコーペアレンツは悪い点ばかりではありません。

通常であれば、1人の子供に対して男女2人の親で育てていく事になりますが、コーペアレンツでは最大4人の親で子供を育てていく事になります。特に新生児などはとても手がかかりますが、4人の親で協力し合いながら子育てをすれば一人にかかる子育ての負担が軽減される事は確かです。

あるレズビアンカップルとゲイカップは一緒に子供を作り、同じアパートの上下に住み、仲良く子育てをしていると言います。現実にそのような事も可能なのです。

ゲイペアレンツへの偏見

現在、ヨーロッパの多くの国では同性婚やパートナーシップが認められています。そのような制度を利用したゲイカップルはおそらく子育を持ちたいとも望んでいる人が多いと思います。未だに多くの人たちは子供たちの育つ環境やゲイカップルに育てられる(両方母親や両方父親)という、ちょっと変わった環境で育つことに対しての子供への影響を心配しています。

現在アメリカなどでは早い段階でゲイカップルに育てられた子供たちがすでに大きくなり始めています。そして、その子供たちが世界へ向けてゲイカップルに育てられたことについて発言し始めています。

その多くはとてもポジティブなもので、異性愛者カップルに育てられた子供たちと何ら変わりないものです。
そして、アメリカのUniversity of Texas at Austin Population Research Center によると子育てをしている同性カップルは異性カップルに比べ子供と過ごす時間が長いと言う結果が出ています。(情報元;METRO co.uk

この様な結果を受けて、多くの人がゲイペアレンツについて理解し、多くの国でゲイカップッルが子育てをしていける環境ができていけば嬉しいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

高校、大学の6年間をアメリカで過ごしたあと、2004年5月に日本へ帰国。働き始めると同時期に、今のパートナーと日本で出会い、すぐに同棲生活をスタート。 パートナーの出身国であるドイツでは同性婚(正式名所はパートナーシップ)が可能なことから、将来を考え、ドイツへの移住を決意。同棲から10年が経った2014年12月にドイツにて、パートナーシップを行い、 現在は新しい家族(ラブラドール レトリバーのメス)と共にベルリンで暮らす。