サウジアラビアで女性にも参政権が与えられる
12月12日に行われる地方評議会選挙で、サウジアラビアで初めて、女性に参政権が認められることになった。
女性にも参政権
サウジアラビアは保守的なイスラム教の影響が強く残っている国の一つだ。同性愛は犯罪とみなされて死刑にかけられ、女性には男性と同等の地位が与えられていない。そのサウジアラビアで今、歴史的な瞬間を迎えている。女性に投票する権利と公職選挙に立候補する権利が与えられたのだ。
これまで、サウジアラビアの女性はどちらの権利も与えられておらず、自分のアイデンティティや意見を十分に訴えることができなかった。
平等への道のり
女性参政権については10年前から議論されてきたが、その10年間で女性の労働人口は2万3千人から40万人にまで増加しており、女性の社会進出が進んでいることが分かる。12月12日に行われる選挙では13万637人の女性に参政権が与えられ、979人の女性が立候補することになっている。
しかし、これで完全に参政権について平等が達成されたというわけではない。男性は130万人に選挙権が与えられ、5000人が選挙に立候補することを考慮すれば、平等への道のりはまだまだ遠いことが分かる。
それでも国際人権NGO、Human Rights Watchの中東担当者は今回のできごとについて、以下のように語った。
「サウジアラビアの女性は、投票権や市議会議員に立候補する権利の獲得を阻む数々の壁に直面していました。しかし、12月12日に彼女らが選挙に参加することで、サウジアラビアの社会に対し、女性が公の場への参加をもとめて戦い続けているという強力なメッセージを伝えることができるでしょう。」
このように多くの人が12月12日の選挙を伝統的な男性優位社会から変化していく大きな一歩だと歓迎している一方で、実際に変化していけるかどうかは投票日になってみないとわからない、と活動家たちは話す。もし女性立候補者のうち、誰も当選しないようであれば、女性に参政権が与えられた意味がないのだ。
宗教と人権
イスラム教に限らず、宗教的な信仰や地域に根ざした慣例が、女性やLGBTなどの人権と対立することは頻繁に起こる。たとえばカトリックの影響が強い地域で、保守層からの同性婚に対して反発が根強く、互いの主張が平行線で交わらないままであるケースはよく耳にする。しかし今回、厳格なイスラム教を国教としているサウジアラビアで女性に初めて参政権が与えられたという出来事は、同国内で少しずつでも状況が変化していることを反映しているのだろう。