恋愛、いらない。
私はアセクシャル(※)です。恋愛に興味がないので、恋の話になった時は、大抵の場合素直にそう言います。中には友情で結びついたパートナーを作る人もいますが、私自身はシングルで生きて行くことを選んだ身です。返ってくる反応はさまざま。なかには理解を示してくれる人もいますが、結構「トンデモ」な解釈をしたり、独自の理論でやたら恋を勧めてくる人もいます。そこで今回は、今までに出会った困った反応をいくつか紹介します。
※アセクシュアル ….人に恋愛感情を一切持たないセクシュアリティのこと
「えっ? てことは動物とかが好きなの?」
動物は好きです。アニマルビデオも観ます。かわいいよね。ハムケツとかね。でもそういうことではない。何かが圧倒的に間違っている、かつ「異性にも同性にも興味がありません」という言葉の意味を完全に取り違えているパターン。恋愛を勧める発言ではありませんが、「話が伝わってない感」はピカイチだったので最初にご紹介しておきます。これの亜種で「ってことは泉に映った自分の姿にしか恋できない感じ?」って聞かれたこともあります。まさかこんなところでギリシャ神話に出会うとは思いませんでした。違います。
「え〜、勿体無い!」
この後に続く言葉は「若いのに」「かわいいのに(かっこいいのに)」「出会いのチャンスは沢山あるのに」「タダなのに」「恋の季節なのに(?)」など様々なバリエーションが考えられますが、総合して一番多いのがこの反応。恋の季節って何なんですかね。繁殖期?ちなみにこの”もったいない”はLGBTの他の人たちもカムアウトした時に言われることみたいです。
「試してみればいいのに!」
先の「勿体無い!」とセットで使われます。更に「経験って大事だよ!」「まだまだこれからなんだから!」「私も頑張るから一緒に頑張ろう!(?)」と続くとフルコンボです。向こうが厚意で言ってくれているのはよく分かるのですが、こっちの脳内では「1combo!」「2combo!」「3combo!」とカウントされています。すみません。
「過去に何かあったの? 相談に乗るよ」
心配されるパターンです。相手が真面目であればあるほどこちらが申し訳なくなります。ちなみに、まじめにアセクシャルであることを説明しようとした時、「過去に何かあったの?」と「試してみればいいのに!」の板挟みになることが結構あります。つまり、過去に経験があれば「その経験が原因で恋愛ができないに違いない」、過去に何もなければ「試してもいないのに避けちゃダメよ!」となるわけですね。
釣りに興味ないのに釣りを無理やり勧められてる感じ
釣りに興味が無い人に執拗に釣りを勧める人はいないと思います。ところが恋愛になると、途端に「人生損してる!」なんて言いだす人が現れるのです。アセクシャルを自認する人に「一度経験してみれば変わるよ」と言うのは、異性愛者を自認する人(ストレート)に「同性と恋愛すれば変わるよ」と言うようなものです。本来「恋愛に興味が無い」ひとは、黙って勝手に無関心を貫いていれば良いはずです。「恋愛に興味が無い」ことをわざわざ宣言するのは、釣りに興味が無い人がわざわざ「私は釣りに興味ありません!」って主張するようなものなのです。
つづく
画像出典:Informed refusal: the natural childbirth fantasy