手術を優勝賞品とするのは「無責任」
ミス・ゲイ&ミス・トランスセクシャル・オーストラリア2016美人コンテストは、メルボルンで近々開催される予定で、出場者には優勝するとタイの病院での性別適合手術が受けられることになっていた。しかし、Pink Newsによると、医療専門家などから“無責任である”などと批判が寄せられたという。問題となっているこのイベントは、ボランティアで開催されるLGBTイベント、ミッドサマ・フェスティバル(Midsumma Festival)の一部であった。
医療専門家からの批判
オーストラリア整形外科学会のヒュー・バーソロミューズ(Hugh Bartholomeusz)会長は、優勝賞品として性別適合手術を与えることについて“無責任である”との見方を示した。
彼はその理由として以下のように述べている。
「慎重な考えや検査のもとで行われるべきものである、ということを軽視している。」
「性別適合手術は気軽に行えるようなものではなく、外科医や精神分析医など複数の専門家との相談も必要だ。」
「学会では、オーストラリア人に対し、どんな形の手術であってもリスクが伴い、手術のために海外に渡った場合には、国内で手術を受けた場合よりも術後の安静期間が得られなかったり、十分なアフターケアを行うのが難しかったりするケースが多い。」
発案者の考え
一方で、このトランスジェンダー美人コンテストを発案したゲイジャ・ダバオ(Gayzha Davao)氏は、トランスジェンダーの認知度を高めようとする意図があったと述べている。
「私はタイの病院がオーストラリアと比較して質が悪いかどうか、などといったことを述べる立場ではありません。タイの病院はすべて素晴らしいからです。」
「タイの病院はまた、非常に速くかつ非常に安全であると私は考えています。タイへ手術を受けに行き、満足した状態になった人を私たちは知っています。」
手術を提供することになっている病院は、医療の質と安全において国際基準を満たしているという。
また、手術費用を貯めることが難しい、手術許可を得るための検査に長い時間がかかるなどの理由で、手術を受けられない当事者もいる。だが、手術はトランジションの最終段階として認識されることが多い一方、手術を選択しないトランスジェンダーも多く存在することを忘れてはいけないだろう。