「同性カップルでも子どもが作れるようになる」
Journal of Law and the Biosciencesで、ある新しい研究が発表された。その研究結果によると、同性カップルであってもそれぞれと血が繋がっている子どもを作ることができるようになる日が来るかも知れないということだ。
新しい科学技術の可能性
今回の研究で使われた技術は、人間に対してはさらに十分な研究が進められる必要があるが、科学者らは筋細胞などの特定の細胞を集めることで、幹細胞を作り出すことができるという。
これらの幹細胞は、生殖細胞を作るのに用いられ、男性の細胞から卵子を、女性の細胞から精子を作り出すことも可能になると考えられている。
研究者らは、生体外配偶子形成(IVG: in vitro gametogenesis)として知られるこの新しい科学技術の可能性を調査しており、この技術を用いることによって、親が3人以上、あるいは1人であっても子どもを産むことができるようになるという。
安全性についての懸念点
今回この研究結果を発表した米国・ジョージワシントン大学のソニア・スーター(Sonia Suter)科学者は、生体外配偶子形成は使い方次第でとても役立つ治療につながるかもしれないが、その一方でたくさんの問題をはらんでいる可能性がある、と説明する。
スーター氏は、例えばひとり親の人達にとっては、赤ちゃんの全ての遺伝物質がその親一人に由来するので、さらなる課題に直面することになるだろうと考えている。
「私たちは、それ(生体外配偶子形成)がどのような結果をもたらすかについて、最小限の知識しか持っていない。」
「人間に対して、これらの技術の有効性や安全性を検証する唯一の方法は、管理された状況下で、成長した子どもを作るというやり方だけだ。もちろん、これも十分な安全性が期待される場合に限った話である。」
倫理的・道徳的な面からの懸念
またこの技術によって、同性カップルなどの子作りの可能性が期待される一方、それに懸念を示す考えもある。
オックスフォードでオンライン薬局を営む一般開業医のヘレン・ウェバーリー医師は、Huffington Postで以下のように述べた。
「この技術は、科学的にはとてもエキサイティングであり、確かに同性カップルやひとり親に対しての可能性を切り開くものだ。一方で、社会的に、そして倫理的にはたくさんの不安要素を生んでいる。」
さらに、妊娠や子育て問題についての活動を行う慈善団体トミーズの助産師も、この技術の可能性を期待しながらも、実現には慎重になるべきだとの意見を述べた。
「私たちは不妊や同性のカップルが血のつながった子どもをもうけるためのサポートや、それに役立つ進歩に賛成しています。
それでも、その技術が現実に使われるようになる前に十分に倫理的・道徳的に大きな懸念点について研究や議論がなされるべきだと思います。」