ローマ法王がアメリカを訪問し、同性婚に対しては否定的な姿勢
9月22日から27日にかけての6日間、第266代ローマ法王が2013年の法王就任以来初めてアメリカを訪問した。欧米のメディアでは、連日法王についてのニュースが報じられ、アメリカ各地では大勢の人が彼の訪問を歓迎した。アメリカのオバマ大統領は、ホワイトハウスにゲイの聖職者らを招き、法王を迎え入れた。
同性愛についての法王の発言
法王は26日の米議会において、将来の結婚の形について警告を促した。法王は
「家族は国家を持続させていくのに不可欠であり、再生産の機能を果たすべきであるが、現在は今までにないほどその地位が脅かされている」
と述べ、「結婚のまさに根本的な部分が問い直されている」と発言。
また、今年7月アメリカ・ケンタッキー州の職員であるキム・デヴィスが、同性婚受理を拒否したとして国際的な議論を引き起こしている問題についても、法王は「彼女には同性婚を拒否する人権がある」として、キム・ディビスを擁護する姿勢を見せた。
更に法王は、信教の自由と同性愛者の権利の議論について、アメリカ国内では信教の自由が同性愛者の権利を拒否しているという政治的な意味につながりつつあることを批判した。
現ローマ法王の同性愛に対する姿勢
カトリック教会では同性愛を認めず、タブーとされてきた。一方で、現在の法王であるフランシスコは2013年の就任後、同性愛者の司祭について「裁くつもりはない」として、これまでのローマ法王とは異なる対応を見せていた。
2014年には、ローマ法王庁で同性愛者の許容案が保守派によって破棄された後も、法王は「カトリック教会は変化を恐れてはいけない」と述べ、同性愛に対して一定の理解を示していた。
また、貧困層や移民、環境汚染など、社会問題に対して高い関心を持ち、ホームレスの方々とともに食事をするなど行動に移している点でも歴代の教皇とは違った印象を与えている。
ゲイフレンドリーなイメージはどこへ?
これまでの法王に比べて、ゲイフレンドリーなイメージのあったフランシスコ法王だったが、最近では徐々に法王は同性愛者に対して否定的な姿勢を強めているようにも見える。
今年2月に行われたスロヴァキアでの同性婚と同性カップルによる養子縁組制度に関する国民投票では、スロヴァキア国民に対し、「神の創造の価値を損なうものだ」として反対するよう呼びかけていた。また今年4月には、フランスが指名した次期バチカン駐在大使を同性愛者であることを理由に拒否していた。
法王就任当初は同性愛者に対して寛容な発言が目立っていたが、徐々に同性愛をめぐる問題に対して否定的な見方が強まっている。今後の法王の発言にも注目したい。
画像出典:LGBTQ Nation