同性愛を扱った作品が狙われる
もうひとつの家族のかたちをテーマとした展覧会の、同性カップルなどが写っている写真が何者かによって傷つけられ、さらに盗まれるという事件が発生した。しかし、写真を傷つけられた写真家は、SNSに写真を投稿するという形で、多くの人の目に触れさせ、犯人たちに対抗しようとした。
野外展示の作品にスプレー
今年11月から、フランス・トゥルーズにあるグランド・ロンド公園(Grand Rond park)の柵に写真の野外展示が行われていた。もうひとつの家族のかたちというコンセプトを世の中に広めるために、あるアーティストが同性カップルやその家族などを写した作品を展示したのだった。
しかし、同性愛を嫌悪する人たちによって、スプレーなどで数度に渡って写真に落書きされてしまった。その後、汚されなかった写真(障害を持った人のやひとり親の家族の写真も含まれていた)も取り外されることになったという。この事件に対して、写真家は怒りをあらわにしている。
作品が盗まれ、状況はさらに悪化
しかし、後にフランスの有名人が同性カップルとして写っている写真も含めて、野外展示の作品が全て盗まれると状況はさらに悪化した。
写真家のオリビエ・チアッパ(Olivier Ciappa)氏は、「Les Couples de la Republique(共和国のカップル)」と名付けられたこの展示会は、フランスのLGBT団体L’Autre Cercleの10周年を記念するという意味があったと話す。
彼はFacebookで、自分の作品が盗まれてしまったことを嘆き、作品を壊してさらに盗んでいったことに対しての怒りを綴っている。
「トゥルーズに新しく展示し直した写真が全て盗まれてしまった!
最初の時は、彼らは自分たちが感じた不快さを示したかったのだと思う。2回目の時は、彼らは完全にこの展示会を消し去ろうと決心したのだろう。そうすれば、トゥルーズの人は誰も展示を見られなくなるからね。
まるでその展示会なんて存在しなかったかのように、すべての写真を盗まれて、目に見えるものは何もなくなってしまった。
彼らは、自分たちが汚した古い写真だけではなくて、昨日僕たちが町に展示した新しいパネルも全てとっていってしまった。」
SNSにシェアをして多くの人の目に触れさせる
その写真家は写真を盗んだ人たちに「仕返し」をするため、元々の展示会の写真を全てソーシャルメディアに投稿した。より多くの人の目に触れさせることで、彼らに展示会の邪魔をさせないと決めたのだ。
「彼らはこういった類の写真を、不快だと言って削除したがるだろうね?そんなことは問題ではない。
FacebookやTwitter、そしてInstagramがあるんだ。いいね!やシェアのボタンもある。それを使えばいいのだ。」
警察は、この展示会の作品を傷つけた疑いがあるとして、6人の若者を逮捕したと報じている。若者らは、宗教的な理由からその作品を傷つけ、同性愛のような「ライフスタイル」を広めることに反発したと供述しているという。