若者達の生き様を描いたロック・ミュージカル
ミュージカル好きや映画に詳しい方はご存知の方も多いでしょう。今回のテーマはミュージカル『RENT』です。
LGBTの登場人物も含めたこの青春群像劇は、1996年のオフブロードウェイでの初上演から若者達の圧倒的な支持を受け、ブロードウェイで再演を繰り返し、現在も“レントヘッド”と呼ばれる熱狂的なファンが多く存在します。
1989年のニューヨーク、彼らは懸命に生きていた
ドキュメンタリー作家を目指すマーク、ミュージシャンのロジャー、ダンサーのミミ、パフォーマンスアーティストでバイセクシュアルのモーリーンと彼女の恋人ジョアンヌ、大学講師のコリンズと恋に落ちるドラァグクイーンのエンジェル。
1989年のニューヨークで、彼らは貧しい生活や夢との葛藤、友人の裏切り、そして生死…様々な困難に直面しながら今日を懸命に生きていく。
特筆すべきところは、登場人物がHIV、ドラッグ依存、セクシュアリティといったそれぞれの悩みを抱えていること。重くなりがちなテーマですが、パワフルに歌い踊るシーンからはむしろ生きる力強さと勇気を与えられます。
「名前は知っているけどまだ観たことがない…」
「もっとしっかり観てみたい…」
そんな方のために、今日本でこの『RENT』を楽しめる3つの方法をご紹介しましょう。
1:ピカイチのわかりやすさとキャストに注目!映画版
映画化された『RENT』は、鮮やかな画面とわかりやすくまとめられたストーリー展開なので初めて観る人にオススメ。
『ホーム・アローン』『ハリー・ポッター』シリーズでもメガホンを取ったクリス・コロンバス監督の演出が見事。マークの撮影した映像から現実へとカメラが流れるように切り替わる冒頭から惹き込まれます。
そしてこの映画版のメインキャストは、ミミ役とジョアンヌ役以外はなんとブロードウェイ初演時のオリジナルキャストが集結。製作陣の強いこだわりが実現し、この夢のようなキャスティングが実現したのです。
『RENT』について「登場人物たちがたいしたアーティストではない、そんな彼らを応援できるか」という意見もあったそうです。しかし、マーク役のアンソニー・ラップはそれに対して音声解説でそれを「的外れな批評だ」と一蹴しています。
富も名声も無く、成功するかも明日生きているかもわからない。そんな登場人物のひたむきな姿に観客は胸を打たれるのです。
2:本場ブロードウェイの空気を家で味わえる!ライブDVD版
ブロードウェイでのロングランの千秋楽を収録した『RENT ライヴ・オン・ブロードウェイ』は日本語字幕付きでDVDになっています。
「RENTの上演はこれで最後…」という想いで劇場がいっぱいになり、特に客席のヒートアップぶりは日本では観られない光景!
幕間の休憩時間もそのまま収録されているので、まるで自分が海を越えてブロードウェイまでやって来たかのような気分で楽しめます。
映画版ではカットされているシーンもあるので、『RENT』を味わい尽くしたい方はぜひこちらを鑑賞してください。映像特典のメイキング・ドキュメンタリーも必見。
3:あの感動をこの日本で!生で!東宝ミュージカル版
本作は、日本でも何度も舞台化されており、今年も9月からシアタークリエで上演されます。
公式ホームページはこちら。
http://www.tohostage.com/rent2015/
日本でもお馴染みの豪華キャスト陣は、ダブルキャストなので色々な組み合わせで観ることが出来ます。
オリジナル演出家であるマイケル・グライフによる新演出版とのことなので、前述の『RENT ライヴ・オン・ブロードウェイ』と演出の違いを観比べてみるのもいかがですか?
こちらはTOKYO RAINBOW PRIDEにブースを出すなど、LGBTフレンドリーな姿勢を見せています。
ぜひこの機会に『RENT』の空気を生で体感しましょう!
私に『RENT』を教えてくれたのは、ストレートの女友達でした。大学で出会ったその子は大のミュージカル好き。彼女は私のカミングアウトを受け、
「『RENT』ってミュージカル知ってる?ゲイとかレズビアンとかいっぱい出てくるよ!」
と教えてくれたのです。それからはDVDを一緒に買いにいったり、特典映像を観て語り合ったり、日本での上演を二人で観に行くようになりました。もちろん今年も一緒に観に行きます。
このように、LGBTだけにフォーカスした作品ではないので、当事者に限らずストレートアライの友人や、カミングアウトしていない家族とも観やすいのではないでしょうか。
ぜひお好みの方法で鑑賞してみてくださいね。
img via: http://www.sonypictures.com/movies/rent/