マシュー・ボーン氏が英国2016年新年の栄誉リストに
振付師でダンス演出家のマシュー・ボーン(Matthew Bourne)氏が、英国の2016年の栄誉リスト(New Year’s Honours List)で大英帝国勲章の司令官騎士(ナイト・コマンダー)を受賞することが明らかになった。彼は「白鳥の湖」の監督を務めていることで知られている。しかし、彼の「白鳥の湖」は通常の女性が主役のものとは少し違う。全ての役を男性が演じているのだ。
大英帝国勲章の受賞
マシュー・ボーン氏は、ダンス界では国際的に有名な人物で、最も有名な作品の一つがこの男性出演者のみの「白鳥の湖」である。彼はこれまで、トニー賞最優秀演出賞・最優秀振付賞やイブニング・スタンダード賞など、数々の賞を受賞してきた。
彼は2001年に大英帝国勲章の将校(オフィサー)を受賞しており、今年の新年の栄誉リスト(New Year’s Honours List)では、彼のダンスでの功績が認められ、将校よりも格の高い司令官騎士の大英帝国勲章を授かることとなった。
「この知らせを聞いたとき、私はとても驚きました。でもこのように高く評価していただき、この上なく感激しており、また光栄に思います。」
今回の受賞の知らせを聞いたボーン氏はそう語った。
受賞にあたってのコメント
ボーン氏は、コンテンポラリーダンス界においてこのような栄誉を授かるのはおそらく自分が初めてであると述べ、以下のように受賞の喜びを語った。
「80年代の終わりに友人らと設立した独立したひとつのコンテンポラリー舞踊団の芸術監督として、今回の受賞は、その後28年間でこの舞踊団が成し遂げてきたことへの非常に価値のある表彰となりました。」
「特に、国立バレエ団の外部から司令官騎士の栄誉を受けた最初のダンサーとなれたことを誇らしく思っています。そして、ニュー・アドベンチャーズ(ボーン氏の舞踊団)とRe:Bourneの仲間たち、そしてダンスや劇場を通じて知り合った友人たち、英国中の観客の皆さんに感謝したいです。彼らがいなければ、私はここにいることさえできなかったでしょう。」
ボーン氏の少年時代
ボーン氏はゲイであることでも知られ、彼の作品には同性愛の要素が盛り込まれているものも多い。彼は以前、Daily Mailのインタビューで、10代のころに自分のセクシャリティで悩んでいた時期があったと語っていた。
「あの頃は、『ホモ』や『おかま』とたくさんからかわれていました。」
「自分がゲイであることをまだ受け入れていなかったので、それがなによりの悩みの種でした。だから、授業では何も発言せず、自分に注目を集めたくもありませんでした。私がダンスを始めた理由の一つは、話をすることが嫌いだったからです。とても人の目を気にしていました。」
彼は自らの少年時代を振り返り、当時の自分がとても悩んでいたのは、一つにはテレビなどにもロールモデルがほどんどいなかったからだと述べる。
「今では、素敵なロールモデルがたくさんいて、私はとてもうれしく思います。…あのころは今とは全然違いました。でも、そういった変化があなたをあなたらしくしてくれるのではないかと思います。」
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