同性カップルと異性カップルで別の形式
LGBTQ Nationによると、ケンタッキー州の連邦上院議会は、2月18日、結婚許可証の形式について、同性カップル用と異性カップル用の2種類の形式を設けることを認める法案が可決された。これは、男女の伝統的な家族に対して“新婦”や“新郎”などの言葉が含まれている書類がないのは失礼に値する、と共和党上院議員が主張したからだという。
キム・デイヴィス書記官の事件を発端に
この法案が提出されたきっかけは、ケンタッキー州ローワン群書記官のキム・デイヴィス氏が同性カップルに対して結婚許可証の発行を拒否したことに始まる。2015年6月の最高裁判決で同性婚を認めない州法は違憲であるとされていたが、宗教的な理由から同性婚を許可することはできないというのが彼女の言い分だった。
昨夏から同性婚が法制化されると、スティーブ・ベシャー元民主党知事は、結婚許可証の“新婦”“新郎”という言葉を、“第一者”“第二者”という言葉へと変更していた。しかし、今回の改正法案の議論が始まると、共和党議員もまた、男女の伝統的な形の結婚への支持を表明するために、この2通りの結婚許可証を作るという改正法案に賛成した。
共和党の上院議員ジョン・シッケル(John Schickel)氏は、以下のように述べた。
「率直に言えば、これは、伝統的な家族に対して失礼なことである。」
「そのため、賢明にも我々は2種類用意することに決めた。これは偏狭な考え方や差別には何の関係もない。ケンタッキー州民の多数派である伝統的な結婚を尊重したというだけである。」
改正法案への反対意見
一方、民主党の上院議員モーガン・マクガーヴィー(Morgan McGarvey)氏は、結婚許可証は1つの形に統一されるべきだと考えていた。
彼は、改正案として、“新婦”“新郎”“配偶者”の選択肢の中から選ぶという形式を提案した。一種類のほうが、コストがかからず、効率的で、すべての人に対して公平であるからだ。しかし、この主張は通らなかった。
議会の外からの批判
また、デイヴィス氏に対して訴訟も起こしているアメリカ自由人権協会は、この改正案に反対の立場を強めた。協会のケンタッキー州執行役員は、以下のように主張している。
「ケンタッキー州のゲイやレズビアンに対して別の書類を作ることは、法の下に平等に扱われるべきという憲法に違反している。」
「純粋に、また簡潔に言うと、この法案は同性カップルに対する偏見を許容するという願望によって動機づけられていた。」
画像出典:LGBTQ Nation