仕事を退職した後に
仕事を退職せざる負えなくなってしまった僕は退職後、毎日のように2丁目にいました。
どうして……自分に正直に生きようとしただけなのに。
ゲイもノンケも関係ない。病気への偏見はどこにもある、それはいつまでも付いて回るんだ。
それに気づかされてから、何もする気が起きませんでした。
しかし働かないと生きてはいけない。
そのため、友達の紹介で居酒屋で働くことになりました。
カミングアウトをせずに働く
居酒屋で働きだしましたが、自分のことは一切隠した状況で働いていました。
ゲイであること。
HIVであること。
何もかも、隠した状況での就業でした。
話したところで、理解があるかもわからない。
紹介してくれた友達に迷惑がかかるかもしれない。
色々な思いが交錯していました。
仕事になれたころ、近所に新店舗が出来、そちらに何度かヘルプで手伝いに行っていました。
その中にとても愛くるしい太目の方がいました。
何度かお手伝いに行き、ご飯を食べに行くことになりました。
彼(Sさん)は僕と友達がゲイであると見抜いており、気兼ねなくご飯が食べれました。
連絡先も交換し、Sさんの家にも一度ですが、遊びに行きました。
僕のことをSさんも気に入ってくれていて、好きだとも言われていました。
けれども、Sさんにはまだ僕がHIVに感染していることは伝えていませんでした。
Sさんも僕を好きと言ってくれている。
伝えるのは怖い、けども、きっと、今回こそは伝えても問題ないだろう、そう勝手に思いました。
HIVに感染してからの恋はことごとくダメになってしまっていたので、とても勇気が出ませんでしたが、二丁目に飲みに行った際に、勇気をだして告白をしました。
しかし、Sさんからの返事はOKではありませんでした。
『好きだった気持ちが無くなった。付き合うことは出来ない。』
そう伝えられました。
僕としてはたったそれだけのこと。
だけどSさんにとってはそれだけのことではなかったのです。
HIVの何が悪いのか。
僕という人間を見てはもらえないのか。
誰を好きになれば報われるのか。
誰にも好いてもらえないのではないか。
どんどんと人を信じることが怖くなり、恋愛をしても報われないのではないか。
そう考えてしまうことが増えていってしまっていました。
唯一の救いはSさんがそれでも僕との友達付き合いを続けてくれていることです。
そのおかげで、まだ希望があるのではないか。そう思うことが出来た部分はありました。
が、そううまくいくことは絶対にないのでした。