まさか俺が…HIVに感染したゲイの話5 病院で受けた差別「他の病院に行って下さい」

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病院とHIV+

HIVに感染すると、最初の方は2週間に1回とかの頻度で病院に行かないといけません。私が通う東京医科大学病院は、HIVの人への対処に慣れているようで、いつも優しい対応をしてくれます。差別のさの字もない、というよりも患者のために頑張っているという感じがします。私は一度、落ち着いた時に、私の対応をしてくださっている医療チームに感謝の手紙を書いたことがあります。最初の記事で書いた“吸引”をもうしなくても良くなった時に、「頑張ったね!吸引はもう卒業だね!」と言われて、本当に嬉しかったのです。そのときは自分一人と医療チームの人たちぐらいしか、僕がHIVであることを知っている人はいなかったし、吸引で僕が辛そうな顔をしているのも知っていたので、少しでも僕を元気付けてくれたり、励ましてくれる人がいて救われたのを覚えています。

またカウンセラーの人も丁寧に対応してくれました。感染へのショックから、当時はカウンセリングをたくさんお願いしました。カウンセラーの方は粘り強く話を聴いてくれ、少しずつ、僕が立ち直っていくのを支えてくれました。ときには、うじうじしている僕に対して「辛いのは分かる。けど、後ろを向いたままでは、前に歩けないのよ」などと優しく、少しずつ僕自身の意志で立ち直り、前を向いて歩けるようにしていってくれました。

落ち着いてくると、病院にいく頻度は2ヶ月に1回、3ヶ月に1回というように頻度が減っていきます。最初は病院に入るだけで辛く、過呼吸気味になってとても疲れるものだったのが、段々と病院に行くことに慣れ、習慣化していきます。

皮膚に現れるボツボツ

たとえ薬で抑えられるとはいっても、HIVは身体に存在し続けます。個人差があると思うのですが、私の場合は一度下がってしまった免疫力をあげていくのに時間がかかり、なかなかHIVネガティブの人ほどの免疫レベルに達せないです。

免疫力が低いせいか、皮膚とかにボツボツができやすいです。子どもによくできる水いぼ(伝染性軟属腫といいます)が、変な所に出てきたりします。気持ち悪いですし、嫌なのですが、できちゃったものは仕方ない。仕方なしに、近くにある皮膚科に行ったのです。距離的に近い所が良かったので、いつもの東京医科大学ではないところにいきました。

「HIVの人は治療できない」

皮膚科で診察を受けた時のことです。医者に「これは伝染性軟属腫ですね。子どもによくできる水いぼの一種です」と診断されました。

その後、医者に「失礼ですが、あなたはHIVに感染していますか?」と質問されました。私は「はい。私はHIVポジティブです。」と伝えました。伝染性軟属腫は普通、免疫力が高くない子どもに起きるもので、成人に起きるのであればHIVが疑われるからです。伝染性軟属腫であるという確証を得るために、医者は私に質問をしたのでしょう。

しかし、その後「HIVの人はうちでは治療できません」と医者に言われました。「伝染性軟属腫を取り除くのは物理的な手術をすればいいので、難しくはないのですが、HIVウィルスが含まれる血液に関して対処する施設がうちにはないのです。東京医科大学などの大きな病院に言ってください」などと言われました。

その時は「そうなんだ…」と思い、わかりましたと言いました。でも、これは本当なのでしょうか?私はその後、虫歯の治療のために歯医者にも行ったことがありそこでHIVポジティブであることを受け付けで先に伝えました。そこはなぜか女性ばかりの歯科だったのですが、なんら問題なく治療を受けることができました。歯科治療でも多少の出血はあるはずです。なぜ皮膚科はダメで、歯科は良かったのかわかりません。もしこういうことが起きて当然なのであれば、私は日本にあるほとんどの皮膚科を利用できないということになります。HIVウィルスは検出不可能なくらい血液中から消えているのに…未だに理解できません。

ある人に、「それアメリカでやったら、裁判になって医者が莫大な賠償金を支払うことになるよ。」と言われて、あれはもしかしたら差別だったのではないか、と思っています。確証はないしわからないのですが、今後もこういうことが一生続くのは、辛いなぁと思います。いろいろな所で、差別を受ける人生なんだな…と思っています。

画像出典:http://buzzkenya.com/

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8 件のコメント

  • 確証もないのに「差別」だと書く、その知性のなさが理解できません。

    HIV感染者は「体になにかしらの症状が出たら主治医に相談する」のが基本です。皮膚科も歯科も主治医に紹介してもらうか、通っている拠点病院に皮膚科や歯科があればそこで受診して、今後の治療のためにも「患者としての情報を一元管理」しておくべきです。

    差別といえば、前記事に「親にはHIVであることを言えない」とありましたが、それこそ、こうじさんご自身が、「HIVは恥ずかしいこと」とHIVを差別しているのですよね。友人や恋人には言えてどうして家族には言えないのでしょう。差別しているからですよね? 無知のままいたずらに動き回って「差別差別」と大騒ぎする前に、まずご自身の差別意識と向き合ったほうがよろしいのではないでしょうか。

    話がずれましたが、要は、「なにかあったらまず主治医に相談しましょう」とお伝えしたかっただけです。
    お大事になさってください。

    • 私には、当人もないのに『「なにかあったらまず主治医に相談しましょう」とお伝えしたかった』と断言できるその知性の無さが理解できません。

      もし仮に一元管理が必要であれば、筆者の通う東京医科大学病院のほうでその旨説明があるはずです。

      逆に、診療に行った他の病院が勝手に、
      他院が一元管理すべき案件のため診療を拒否するという話は聞いたことがありません。
      (そもそもそれは、その病院が決めることではありません)

      • これ、わたしに返信する必要がある内容ですか?
        それより、執筆者さんに励ましのお言葉でもかけてあげたほうがよろしいのではありませんか?
        あるいは「一元管理に反対の理由」を述べていただくほうが有意義だと思います。

        「知性のなさが理解できません」っていう、同じ文章を使って揶揄したかったんですかねえ。

        それにしてはピントがずれている気がします。どうせなら
        『「HIV感染者は「体になにかしらの症状が出たら主治医に相談する」のが基本です』、と断言できるその知性のなさが理解できません。
        のほうが、わたしには「そりゃそうだわなー、これ、私見だからなー」と思えますが。
        (でもそれを指摘されたら、他にいい方法はあったら教えてください。とおたずねしてしまいますが)

        まあいいや、わたしが言いたかった要点は、

        1)主治医に心身情報を一元管理してもらうことをお薦めします(拠点病院の主治医からその指示がなければ自ら動くことをお薦めします)
        2)上記理由は、情報を一カ所にまとめておいたほうが(主治医も執筆者ご自身も)対処しやすいと思うからです。
        3)HIVへの差別意識は執筆者ご自身にもあるように思われるので、そこから見つめ直すことをお薦めします。

        残念なことに、HIVへの差別意識や態度が医療従事者にあるという話は聞いています。
        ただ「差別だ」と騒ぐのではなく、どうしたらそれをなくせるか、なぜそういう差別が起きてしまうのか、そういったことを論じていくほうが建設的ではないでしょうか。

        インフルエンザが流行る季節が来ました。執筆者さんも返信してくださった方も、ご自愛しつつ楽しい冬をお過ごしください。

  • 記事全部読みました。
    HIVに感染した方の気持ちをこうじさんから分かる視点で伝えられているのが、とても良いと思います。

    沢山辛いことがあったと思います。ですが、だからこそ、同じ立場の人達を、私たちには出来ないこうじさんなりの支え方で支えていって欲しいです。

    HIVの方が、私の周りには居なかったので、きちんと考えるきっかけになりました。ありがとうございました。

  • 記事読みましたわ
    HIVは人類にとって深刻な問題ですわ
    あなたの周りは非常に恵まれてると思いますの
    親友の女性がいて他のお友達の方
    それからhivを知った上で好きになってくれる恋人さん
    HIVは必ずしも即死に至る病気ではありませんわ
    まだまだ生きれるのです
    少しずつ時間をかけておおいに心を癒し
    自分自身と向き合っていくといいとおもいますわ
    それと家族には、話をするべきですわ
    家族に伝えるとおそらくあなたの心は軽くなると思いますの
    多分お辛かった治療のこと
    これから乗り越えていけなくてはいけない色々なこと
    家族は全て受け入れてくれますわ
    それにもし、知らないままであなたに何かあった時ご家族の方はさぞ、悲しがると思いますの。
    必ずいつかはばれますわ。家族はわかりますわ
    だってそれが家族ってものですよね
    それにゲイははずべきことでもなんでもないですわ
    今や性別なんて問題ではないですの
    あなたと恋人さんとの心が大切でしょう?
    あなたはこれから病気と闘いながらも幸せになっていくんです
    今の恋人とも深く結ばれることをお祈りしてますわ
    お母様にはお伝えなさってくださいね

  • 初めまして。
    記事を読ませて頂きました。
    僕もキャリアの者ですが、
    確かに病院によって患者差別は有ります。

    僕の場合は歯科診療と心臓疾患でした。
    歯科は拠点病院内で有りながら心ない医師(無知で時代錯誤)による扱いでした。大病院の診療時間は終わる時間も早いなか仕事を早退して通っていましたが、予約をしているにも関わらず感染者の治療には準備が掛かるからその日の患者が全て終わるまで待たされたり、その医師が同性愛を自分は受け入れれないと治療に関係ない個人的な見解を言われたりしました。
    もちろん病院側にも苦情は言いました。でも、改善はみられなかったので歯科のみ他の病院に掛かるようにしました。その後も他の患者さんに同じような対応をしてるようで耐えて受診する方、転院する方色々です。
    また、心臓の疾患が分かって拠点病院が住まいから1時間掛かる場所のため近くに心臓病で有名な病院に掛かった際には最初に病名を伝えてその上で見て頂けるか?確認をしました。担当医師は「その病気だからってことで診察を拒否するような病院が有りますか?」と言うような理解有る方でした。で、安心して検査治療を受けれると思った矢先に病院側からその医師が査問され、病院側が「感染者は見れない。しかし、今回は医師の勝手な判断で了承したので特例で対応します。」と言われて・・・ショックを受けたまま検査治療を受けました。
    でも、今後も発作などが起こる可能性が有る中で救急で拠点病院までもたない時には受診できるか?聞いた際に極力来ないで下さい。生死に関わる症状の際には応急処置は致しますが、拠点病院に・・・という回答をされました。

    現実的に拠点病院が有って助かる反面、そこに携わらない病院では根強く差別は残ってますし、無知な医師は沢山いるんです。
    ただ、中には拠点病院では無いが一つの病気として差別無く自分たち医療従事者がキチンとした知識を持って対処すれば特別な病気では無いと考えて、セミナーや講演会に積極的に参加して取り組まれているような医師の方もいらっしゃいます。

  • 色々と大変ですけれども、頑張って生きてください。時々この後の状況も更新してくださいね。 応援しています。

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