自殺未遂から幸せになったゲイ

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両親

26で闘病生活が続いていた母親が亡くなった。
父親とはものすごく仲悪かった。父親は自分のことを肯定してない。母親はどっかで、「この子はこうだからもういい」ってなってたと思う。でも父親はそうではない。26歳の時に、生まれて初めての大喧嘩をするの。取っ組み合いで。その時父親が言った言葉が今でも忘れられない。

壁にガンって押し付けられて、「お前の正体知ってんだぞ」って。

あ、やっぱり自分のことを今のいままで、一秒たりとも認めていなかったんだ。なんなんだよ、この親子ごっこは。自分だって好きでここにいるわけじゃない。お前が勝手に作って勝手に産み落としたんだろ。自分だって選べるんだったらゲイなんかなってない。お前が作った子供がゲイなんだよ。そう言ったら、父親はそのままどっか行っちゃった。
それに対して母親は「お父さん、そんな人間的なことで責めてもしょうがないでしょ」って。母親はやっぱり味方だったし、父親は味方ではなかった。それがあった一年あとに逝っちゃうんだけど。なんで先に逝っちゃったのって感じ。母親がいなくなって、とうとう家にいる理由がなくなった。だから27歳で出て行った。

母親は、自分が仕事をしてるのが好きだった。ある日、すごく具合が悪そうで、病院送っていくっていう自分に対して「いいから仕事に行ってらっしゃい。どうにかなるから」って言ったの。自分は仕事に行って、母親はその日に死んじゃった。

母の死後から、自分の思う通りに事が運ぶように。

ずっと自分は販売員だったんだけど、本当はPRがやりたかった。会社にもずっと伝えてはあったけど、「経験がないとPRはできません」って言われてた。どうしようかな、転職しようかなって思ってたら、母親が亡くなった10日後に人事部から電話があった。「PRのポジションが空いたのでどうぞ」って言われた。これは、母親が「悲しまないで、貴方は仕事をずっとしてなさい」と言ってるんだと思った。販売とPRは職種が違うし、大変な日々だったんだけど。

自分は仕事でやりたいことが全部出来ている。願いは叶う。母親がついている。

今は仕事上でもプライベートでもセクシュアリティを隠したこともない。それによって馬鹿にされることも下に見られることもある。本来の能力に関係なく下に見られたりもする。でも、下に見られるということを否定するよりも、見られてもいいやって思うようになったんだよね。下に見るかどうかって、どうせ最終的に相手が決めることだし、大切な仕事仲間や友達が認めてくれて自信がついたから、ネガティブな人たちが認めてくれなくても別にいいやって。セクシュアリティという一要素だけで判断するとか本当にナンセンスだと思う。自傷癖のあった自分が、友達のおかげで、いつの間にか強くなっていた。

あの時、死ななくて良かった

今は、明らかに自分が生きてきた時代とは違う。自分は死のうと思ってたし、生きてる価値もないと思ってた。でももし死んでたら、本当にやりたいと思うこともできてなかった。

今だからわかる、やりたいと思った事が出来る喜び。
物理的なことから精神的な事まで。あの時死んでたらこの達成感はなかった。死ななくて、諦めなくて良かった。

必ず未来は良くなるから。あきらめないで。負けないで。

たくさん死んじゃった人はいた。最初のボーイフレンドは死んじゃった。ちゃんとした死因は聞いてないんだけど、精神不安定でアル中だったし。友達から「なんとなく死因はわかるよね」って言われて。今、自分たちはすごくラッキー。都会にいるし、ググればいろんなことにリーチできる。でも、こんな環境じゃないとこで生きている子達もいる。セクシュアリティが原因でいじめられた海外の子が自殺しちゃうニュースも多いよね。
僕は、It Gets Betterってすごくいい言葉だと思うの。いずれよくなるから。先輩が自分のことを話すことによって、希望が広がっていく。

死ななければ必ずその先にはなにかあるから。死ぬのは最後でいいよ。どうせいつか死ぬんだから。
自分で自分の人生を終えるのは絶対にしてはいけない。したかったとしても絶対にダメ。絶対に良くなるから。

ヴェルサーチとスーパーモデルに憧れて、ファッション番組と雑誌に夢中だった高校の頃。その頃夢見ていた業界に入って、ファッションショーが開催されている現場に居ることができてる喜び。当時のあこがれが現実になったことに震える。本当に素晴らしい世界だと思うし好きだし、何かを発信している感覚があるこの仕事が楽しい。

周りに支えられて生きているって感じている。仕事のチャンスを上司から頂いて、同僚と力をあわせて、何かあったら友達に相談する。自分が生き抜いてきた、サバイバルしてきたって感覚はない。常に友達が周りにいて、人に支えられて乗り越えてこれた。

自分から立ち上がって助けを求めれば、必ず人が助けてくれる。
味方はたくさんいるし、希望を持つことを忘れないでほしい。
夢は叶うし、だれも一人ではない。

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