プリンストン大学フットボール選手がカミングアウト
プリンストン大学のフットボール選手であるメイソン・ダロー選手がOutsports.com にて自身がゲイであることを今週火曜日にカミングアウトしていた。彼によると、カミングアウト後もチームメイトや監督とうまくやっていけているそうだ。
「今のこの時代、もはや誰もゲイであることなんて気にしない」
ダロー選手は語る。
「僕は、チームメイトや周りの人々に酷いことを言われたりするのではないかと、すごく心配していた。でも今のこの時代、もはや誰も僕がゲイであることなんて気にしないね。もはや大きな事ではなくなっているんだなって思った。」
ダロー選手は、現時点で、主要な大学のフットボール界の中で唯一のオープンリーゲイの選手だ(プロ選手ではカミングアウトしている選手はいる)。以前ミズーリ大学に在籍していたマイケル・サム選手もゲイであるとカミングアウトしたが、それは引退した後に行われたものだった。アリゾナ州立大学のチップ・サラフィン選手は去年カミングアウトしたが、それはファイナルシーズンの直前だったため今は既に引退している。
カミングアウトした理由
ダロー選手は、自分のためにカミングアウトしたのではなく、他人のためにカミングアウトした。彼自身がカミングアウトした理由に関して、このように述べている。
「僕は、多くの人に対してゲイであることはなんら問題ではなく、それはフットボールという僕の関わる分野においても変わらないということを伝えたい。もし僕のカミングアウトを通じて、アリゾナ州にいるゲイの学生が、チームメイトなどにカミングアウトしたとしても全く問題にならないということを、伝えられれば、と思っている。」
彼のカミングアウトに対して、監督やチームメイトもポジティブな返答をしている。
監督のボブ・スレース「チームの中の誰かに、彼がどんな人か聞いてごらん。誰もが彼のことを素晴らしい人だと言うと思うよ。」
チームメイトのジャック・ナイト選手「彼がゲイであることは、5~6ヶ月前から気付いていたんだけどね。なんにせよ、彼はとにかく素晴らしいやつさ。自分がどう生きるかということは、僕だって人から大事にされるべきことだし、彼だって人から大事にされるべきことだと思うよ」
スポーツ界におけるLGBT
日本のスポーツ界にもLGBTは間違いなく存在するが、未だ自らカミングアウトしたスポーツ選手は存在しない。スポーツの世界ではチームメイトと共有する時間が多く、食事、風呂、様々な部分で生活をともにしたりする。チーム内での連携のために、チーム内での関係性も重要であるし、試合で活躍するためには監督からの評価も非常に重要だ。さらにスポーツ界では「先輩のいうことが絶対」という上下関係を重視する文化もあるため、いじめが起きやすい。そのような環境の中で、かつLGBTに優しくない国であれば、カミングアウトできず、クローズドでいようと考えることは当然だ。しかし、筆者の周りだけでも、オリンピック直前まで登りつめたレベルのスポーツ選手のゲイの人を数人知っている。彼らは言えないのだ。ゲイであることをカミングアウトしてもなんら問題ない環境になり、スポーツ選手が自らカミングアウトをする日は、日本にもいつか訪れるのだろうか。
画像出典:ONE OF THE GUYS