主人公はトランスジェンダーの王女様
ある作家が、王様と女王様の間に生まれた、トランスジェンダーの王女を主人公としたおとぎ話、『ロイヤル・ハート』を発表した。この作品では愛情、家族、そして受容といったテーマが描かれている。
物語に込められたメッセージ
グレゴリー・マグーン(Gregory McGoon)は『ロイヤル・ハート』で、どのようにトランスジェンダーの子どもが自分のジェンダーアイデンティティを受け入れていくまでの物語を描いている。王子として生まれたが、心の中では自分を王女だと感じているリリック(Lyric)という主人公の物語を通じて、この話には愛情、家族そして受容していくことの大切さを訴えている。
トランスジェンダーの王女の物語
リリックは自分は王様にはなれないと感じていたが、16歳の誕生日を迎えると彼女は亡くなったおばあさんの霊に出会う。その霊の力を借りて、王子は王女に「変わる」のだった。
「リリックは王室のガウンを着た美しい少女として立っていたのでした。
リリックはついに、自由になれたのです。涙が彼女の頬をつたいました。『これが私。これが今まで生きてきた私の姿なの。心の中では、私は王様にはなれないとわかってた。それでも、リーダになることはできるかもしれない。』」
物語を作ろうと思ったきっかけ
作者のマグーンはGay Star Newsに対して、以下のように話している。
「子どもたちの本の中にLGBTのキャラクターが登場することが少なすぎる。
僕はおとぎ話やディズニーマジックとともに大きくなって、そして自分のおとぎ話をつくろうと思った。僕に希望を与え、そして僕のこれからの展望を映し出せる物語をね。
そして僕は思ったんだ。もし王子様が王子様になりたくなかったら、でも王家の一部でありたいと思っていたらどうなるんだろうと。そうして僕は物語のエッセンス、つまりリーダーシップと愛情を思いついたんだ。」
作者の思い
物語では王女になった王子についての話を中心に書かれているが、マグーンはこの物語が『トランスジェンダーのおとぎ話』ではなく、むしろ『主人公が偶然トランスジェンダーであった物語』であることを熱心に伝えようとしている。
「この物語の本質は、トランスするということよりももっと大きなことだ。…自分が自分であることを本当に受け入れ、その中で安心や自信を見つけていくことがこの物語の核なんだ。
この本は、自分のジェンダーが何であろうとも、王子様も王女様も、王様も女王様も何でも演じられるということを子供たちに教えてくれる。」
これまでマグーンはこの物語について、子どもたちからも大人からも肯定的な反応が返ってきていると話し、手応えを感じているようだ。
画像出典:Pink News