みなさんは”ハッテン場”をご存知ですか?
みなさん、ハッテン場を知っていますか?発展途上国のことでも技術的な発展を進めている場所でもありません。ハッテン場とは「見知らぬ男たちが見知らぬ者同士でセックスをする場所」のことです。
入り口には会員制の文字。開けるとクラブミュージックの音と小さなフロント。料金を支払い中へ入りロッカーに荷物や服をしまう。ハッテン場での正装はパンツ1丁。薄暗い部屋の中を歩き回る男たち。ターゲットを見つけたら近づき、アプローチを。お互いの興味が一致したら個室で…。使われた部屋には前の人たちの残骸。そこで次々と新しい夜の営みが繰り返される。私は今回、一人のゲイとしてゲイの抱える闇の部分についてお話ししようと思います。
世間がLGBTに寛容になりつつある今、本当の理解を進めるために知ってほしいと思ったのです。
歴史のなかでその必要性ゆえに生み出されたハッテン場
なぜ、このような場所が存在するのか。それは言わずもがな、かつてのゲイが出会う場所などどこにもなかったからです。言い換えるなら、当時はそういう場所でしか出会うことができなかったのです。大正-昭和初期には映画館や公園などがゲイの出会いの場所になっていました。戦後は上野公園や日比谷公園、信濃町駅最寄りの権田原という公園のような場所が有名でした。しかしこういった野外や公共の場では迷惑行為となるため対策などがとられ、現在野外のハッテン場は減少傾向にあります。そこで近年存在しているのが室内の有料ハッテン場なのです。
本来の目的と違ってきているハッテン場
ハッテン場が法律に触れるかどうかは私にはわかりません。しかし、私はハッテン場という存在が今の世の中に必要な場所だと思っていません。近年LGBTの問題が取り上げられるようになり私たちセクシャルマイノリティは「マイノリティ」でありつつも「マジョリティ」になりつつあります。でもそれは結婚や権利などの法律的な部分、上辺だけの部分です。私は当事者でありながら自分たちが要求しかしていないのではと思いました。
見知らぬ者同士が不衛生な場所でセックスするというのはだれからしてもおかしいことだと、多くの人に思われても仕方ありません。公にできず、出会いの方法がなかった昔と今は違います。アプリがあり、SNSがあります。また、近年はHIVの問題が話題になっており、新宿の保健所では毎日約5人の人がHIV陽性の診断が出ます。正確な数字は出ていませんが、個人的にはハッテン場もHIVを蔓延させている一つの原因なのではと考えています。
私たちのことをマジョリティーであるストレートの人たちに理解してもらいたいになら、私たちマイノリティ自身も、日本の人々に変に思われないような振る舞いをするべきではないでしょうか。世の中に蔓延する「ホモ」や「ハッテン場」と言った言葉に対する穿った見方や先入観は確かに大きな問題ですが、そういった価値観が生まれた原因は自分たちにもあると思っています。今後LGBTが広く知られていく中でゲイのコミュニティに存在する闇の部分と向き合っていく必要があるのではないでしょうか。