豪華客船でのクルーズ旅、「一度行ってみたいなあ」と憧れている人も少なくないでしょう。
とは言っても、
「料金が高そう」
「リタイアしたような年齢が高い人が中心」
「同性同士では参加しづらそう」
なんてイメージがあるのも、また事実。
ところが、実際のクルーズ旅は、そんな予想が覆されるものでした。
2018年は日本にも多くのクルーズ船が寄港する年。
日本からスタートするクルーズ旅もたくさん用意されていて、クルーズの旅への注目度がますます高くなること確実です。
その中でも特にオススメの、セレブリティクルーズの旅を一足先に体験してきました。
クルーズの旅とは一体どんなものなのか、2回に分けてたっぷりとご紹介します。
<目次>
1)クルーズの基礎知識 その1 「クルーズは高額、という誤解」
2)クルーズの基礎知識 その2 「美味しい食事が食べ放題?」
3)シドニーの港から、いざ乗船!
4)ウェルカム・ドリンクで乾杯!
5)出航前には「避難訓練」が必須!
6)大きなクルーズ船は意外に揺れない
7)船上でLGBTミーティング?
クルーズ船に乗る前に、まずはクルーズにかかる費用に関してまとめておきましょう。
「高そうで手が出ない」というイメージが覆ること確実です。
■クルーズの基礎知識 その1 「クルーズは高額、という誤解」
「クルーズの旅は高額」というイメージは、日本のクルーズ船の価格を基準にして広まったのではないかと思われます。実はクルーズ船の料金は大きくなるほど、より安価で楽しめる機会が増えるってこと、ご存知でしたか?
日本のクルーズ船は小型クラス
日本のクルーズ船は、「にっぽん丸」で22,474トン、「飛鳥Ⅱ」で50,142トンです。
これって実はクルーズ船の中では小さいクラスなのです。
海外のクルーズ船はもっと規模の大きいクラスがたくさんあります。
今回、僕が体験したセレブリティ・ソルスティスは122,000トンで、その巨大さに圧倒されましたが、これがクルーズ船の中では中型クラス。
大型クラスのクルーズ船は22万トン以上のものもあるんです。大きくなれば料金に幅が出る
小型クラスの日本のクルーズ船は、例えるならば少人数の宿泊客を対象にした隠れ家リゾートのようなもの。宿泊者が少ない分乗船客に対する手厚いサービスが売りになるので、当然、旅費は全体的に高額になります。
ところが中型クラス以上のクルーズ船は、例えるなら大型ホテルのようなもの。つまり、部屋数が膨大な分、部屋のクラスにもエコノミーからスイートまで幅を出すことができるのです。その分、旅費も部屋によって大きく異なってきます。
中型クラス以上は1泊1万円代から!
今回乗船してみて実感したのですが、中型クラスのセレブリティクルーズは館内のあちこちでゆっくり過ごせる場所があり、部屋で過ごす時間は寝るときくらいしかありませんでした。
それならば「部屋は寝るだけの場所」と割り切って、バルコニーも窓もない内側船室を選べば、1泊約1万円強で滞在することができるんです。※今回体験したツアーはシドニー出発なので、日本からシドニーまでの航空券代などが別途必要となります。でも、セレブリティ・クルーズには、日本出発のルートも用意されているのでご安心ください。
クルーズの旅は高額だというイメージ、大きく覆りますよね?
■クルーズの基礎知識 その2 「美味しい食事が食べ放題?」
「部屋は寝るだけの場所」と割り切って安い部屋をチョイスするなら1泊1万円強とご説明しましたが、これは宿泊代だけではありません。
クルーズの旅の特徴は、オール・インクルーシブ(全部込み)にあるのです。「全部込み」の「全部」ってどこまで?
今回体験したセレブリティクルーズの例でご紹介しましょう。
料金に含まれているものは・宿泊代
・全食事代
・ソフトドリンク代(カフェで24時間提供される)
・エンターテインメント代(ショーや映画などの鑑賞代)
・アクティビティ代(屋内外プール、ジム、コート、ライブラリーなど)ここまで込みで1泊1万円強です。
クルーズの旅が高い、などというイメージは雲散霧消してしまうのではないでしょうか?「全部込み」に含まれないものは?
船上で過ごすための基本的なものは全て料金に含まれていますが、そこに含まれないものもあります。
含まれないものは、
・アルコール代(飲み放題のパスも用意されている)
・スペシャリティレストランの利用
・マッサージやエステ代
・カジノ代
・ショッピング代(船内にショッピング・アーケードがあり、絵画のオークションも開催)
・インターネット/Eメール使用料(船内設置のパソコンを使用する場合)
・WiFi使用料(ノートPCなどを持ち込む場合)
・クリーニング代これらのものは料金に含まれません。
チェックイン時にクレジットカードを登録しておくと、後日決済されます。
また現金支払いにする場合は、下船前夜ないしは下船当日に清算します。
ここまでの基礎知識は、日本で取材の打ち合わせをする時にセレブリティクルーズ社の方からうかがったことです。
この時点で、それまでクルーズ船に抱いていたイメージが覆り、機会を見つけて割に気軽に参加できるものだということを知りました。
手の届かない憧れの存在だと思っていたクルーズの旅が、結構身近なものだと感じられるようになり、旅への期待が大きく膨らんだのです。
シドニーの港から、いざ、乗船!
クルーズの旅というと、1週間〜10日くらいかけて、色々な土地に寄港してはそこを観光する、というイメージがあると思いますが、今回、僕が体験したの旅は2泊3日のショートクルーズ。
オーストラリアはシドニーの港を出て、洋上で2泊して戻ってくるというコースで、どこにも寄港しません。
その分、船内でじっくり過ごせるので、クルーズ船の魅力をより深く堪能することができました。
羽田空港を夜に飛び立ち、シドニーに到着するのは朝早い時間。
空港から、シドニー・ハーバーのサーキュラー・キーに向かいます。
ここはシドニー・ハーバーの中心地ともいうべき埠頭で、オペラハウスとハーバー・ブリッジというシドニーの2大インスタばえ撮影スポットに挟まれています。
僕たちが乗り込むセレブリティ・ソルスティスは大きなターミナルに横付けされています。
まずは、このターミナルでチェックインを済ませます。
出航は18時、ターミナルに着いたのは午前中にも関わらず、すでにチェックインをする人が結構な人数集まっています。
「どうしてこんなに早くから集まってるの?」
と疑問に思ったのですが、その理由は後ほど判明しました。
さて、チェックインです。
まずはターミナル前の広場で事前に渡されていたタグを荷物につけて預けてしまいます。
身軽になったところでターミナルに入り、2Fのチェックイン・カウンターに向かいます。
ここでは事前に渡されていた乗船証などの書類を渡し、Sea Passというカードをもらいます。
Sea Passは部屋のカードキーと船内での財布代わりになるものです。
料金に含まれていないモノの購入はSea Passを使って、後ほど精算ということになります。
先述したように、最終的な支払いはクレジットカードで決済するか、現金で支払うかを選びます。
クレジットカード決済をチョイスする場合は、チェックイン時にクレジットカードを登録することで、後日決済されます。
僕は現金支払いをチョイスしましたので、下船前に船内で支払いを済ませなければなりません。
また出航すると船上WiFiを使用しないと、スマホやノートPCでのインターネット接続ができなくなります。
ノートPCを使用したいので、僕はチェックイン時に船上WiFiも申し込みました(申し込むとパスワードをもらえます)。
ウェルカム・ドリンクで乾杯!
16階建てのクルーズ船セレブリティ・ソルスティスに近づくと、その大きさに圧倒されながら乗船しました。
そこでは船のクルーたちがウェルカム・ドリンクを用意して出迎えてくれます。
ここで一気に気持ちが盛り上がります。
ウェルカム・ドリンクはジュースやアルコール(シャンパン類など)など色々用意されていました。お酒は別料金なのですが、ウェルカム・ドリンクは無料ということもあって、シャンパンをお代わりしてしまいました。
チェックイン前に預けた荷物は、それぞれの部屋に届けてもらえるのですが、乗船直後はまだ届いていなかったのでカフェでお茶をすることにしました。
船内の中央部は吹き抜けの広場になっていて、そこをシースルーのエレベーターが上下しています。
まずは14階まで上がってみると、そこが24時間オープンしているブッフェレストラン「オーシャンビュー・カフェ」です。
ブッフェスタイルで料理やデザートがずらり並んでいるこのカフェで、すでに乗船したゲストのみなさんが昼食がてら話に花を咲かせていました。
もちろんカフェでの食事やソフト・ドリンクは料金に含まれていますので、好きなだけ食べ飲むことができます。
このオーシャンビュー・カフェは、早朝6時半頃から朝食ブッフェが始まり、深夜2時まで様々な料理(ディナー・タイムの後はピザやパスタが深夜2時まで提供されていました)やスイーツが並べられています。
ソフト・ドリンクのカウンターは24時間オープンしていました。
つまり、文字通り「好きな時間に、好きなものを、好きなだけ食べたり飲んだりできる」という素晴らしい空間です。
旅の間、このカフェには何回も足を運ぶのだろうなと思いました。
出航までに船内探検をしてしまおう!
出航まではまだまだ時間はあります。
船内にはどんな施設があるのか、夕食をとるレストラン(メインダイニング)の場所はどこなのか、船内をぐるりと探検することにしました。
船内の構造をざっくりと説明すると、
<上部>
屋内外プール、ジム、ランニングトラック、屋上デッキ、オーシャンビュー・カフェ、メインバーなど
<中部>
客室、ライブラリー、カードゲーム室、インターネット室(PCやメールが有料で使える)
<下部>
レセプション、レストラン、バー、ラウンジ、カジノ、ショッピングモール、シアター
という感じになっています。
なにせ16階建てですし、横の長さもあるので、船内の構造を把握するには結構な時間歩き回らないとなりません。
飛行機の中では睡眠も足りていないので眠気もあり、正直疲れていました。
でも、まだ乗船しているゲストが少ないうちに船内探検を済ませておいて良かった、と後々思うことになるのです。
出航が近づくに連れ、船内の人口密度はどんどん高まっていきます。
多くの人が常時船内を移動しているので、エレベーターも結構待たされることが多くなります。
船内の構造をある程度把握していると、エレベーターを待つより階段の方が早いかも、などという判断をつけやすくなりました。
1週間以上の長いクルーズなら、おいおい分かっていくのでしょうが、僕たちは2泊3日のショートクルーズです。構造を早めに把握することは、船内の移動をスムーズにするには重要なことでした。
出航前には「避難訓練」が必須!
船内探検を終えて部屋に行くと、預けた荷物が届けられていました。
部屋に入ったらまず確認するのは、メインダイニングでの夕食の時間と、drill(ドリル)の場所と時間です。
デスクの上に、それぞれの時間と場所が記された紙が置かれています。
飛行機では離陸する前に、機内安全に関しての映像が流され、同時に客室乗務員による説明があります。
同じようにクルーズも出航前にdrill(ドリル)という避難訓練が行われます。
これは全員参加が義務付けられているので、サボることはできません。
セレブリティ・ソルスティスではゲストを幾つかのグループに分けて、船内各所の大きなモニターがあるところに集められます。
点呼があり全員参加を確認してから、船上安全に関する映像をみんなで見ます。
言葉は英語ですが、映像なのでよく理解できました。
drillが終わって部屋に戻ると、いよいよ出航。
ゆっくりと船が動き始めました。
大きな船が動き始める瞬間はなかなか感動的です。
部屋のバルコニー(今回はバルコニーのついた部屋に泊めていただけました)に出て、汽笛を聞きながら海風に吹かれ、しばらく離れていく港を眺めていました。
さて、drillと共に部屋のデスクに置かれているのはメインダイニングのディナーの時間と、座るテーブルの案内です。
メインダイニングでのディナーは2部制になっていて、前半か後半のいずれかに割り振られます。僕たちは後半だったので、ディナーまではまだまだ時間があります。
そこで、船内をもう少し探検することにします。
大きなクルーズ船は意外に揺れない
出航すると、カジノと高級ブランドの免税店がオープンします。
また、中央部のエレベーターが並ぶ吹き抜けの空間では、バンドの演奏が始まりました。
セレブリティ・ソルスティスは、音楽系のエンターテインメントがとても充実していました。
この吹き抜け空間を始め、カフェやプールサイドなどで、様々なライブ演奏やショーがあり、飽きることがありませんでした。
出航直後の屋外プールは閑散としていましたが、プールの脇にあるジャグジーに浸かって若い男性たちがお酒を飲みながら盛り上がっていました。
彼らも後半のディナーの時間を待っているのでしょう。
船内を歩き回っていて実感したのが、揺れをほとんど感じないことです。
もちろん、出航直後は湾の中ですから波が穏やかなのかとも思いましたが、後々洋上に出てからも同じだったので、船の大きさや、揺れを減少させる構造になっているのだろうと思いました。
「船酔いしないかな?」と、ちょっとだけ心配していたのですが、まったくの杞憂に終わり、最後まで楽しく旅をすることができました。
船上でLGBTミーティング?
船内の色々なところで、大小様々なイベントやショー、アクティビティが開催されています。
その日に何が予定されているのか、というスケジュールは毎日部屋に配布される新聞でチェックします。
初日にこれは外せないとチェックしたのが「LGBTミーティング」です。
2部のディナーが始まる前の時間に、船内のバーで開催されると記されていました。
バーと言っても吹き抜けに面した卵型のカウンターになっているスペースです。
すでにレズビアンのグループが酔っ払っていてかなり盛り上がっています(彼女たちは本当に明るくてパワフルでした)。
この「LGBTミーティング」は、当事者のゲストが知り合い親交を深めて旅を楽しんでもらおうと、セレブリティのクルーズでは頻繁に開催されているそうです。
ツアーにはゲイ・カップルも何組か乗船していて、このミーティングで知り合い、翌日はプールサイドで2組のカップルが一緒に過ごしている姿を見ることができました。
オープンなバーでLGBT当事者が集まっていても、他のゲストの人たちが奇異なものを見るような目になることもなく、ごく当たり前という雰囲気なのが、とても心地よかったです。
船内のゲストを見ていると、小さいお子さんを連れたファミリーから、若い友人たちのグループ、大家族で参加している人や、カップル、夫婦、中年層のグループ、高齢の方達など、実に幅広いことに気がつきます。
また、車椅子で参加している人も少なくありません。
船内はエレベーターもあり、通路も段差が少ないので、まさにバリアフリーな環境。いわばホテルの部屋ごと移動してくれるクルーズ船の旅は、ハンディキャップを持つ人にとっても気楽に楽しめるものなのだと実感しました。
そんな多様性に溢れた船内ですから、セクシュアル・マイノリティであることを気にする必要などまったくありません。
クルーズの旅への興味、ますます湧いてきませんか?
というところで前編は終了です。
さて、後編ではクルーズの楽しみである美味しい食事の数々や、華やかなエンターテインメントなどをたっぷりご紹介します。
後編もお楽しみに。
■今回乗船したセレブリティクルーズはこちらからご確認ができます
http://www.celebritycruises.jp/cruise/cel/index.do
セレブリティクルーズに新たに「セレブリティ・エッジ」というデザインシップが2018年12月より就航します。デザインに注力をかけて製造されているセレブリティ・エッジは、世界的にも有名なインテリアデザイナー「ネイトバーカス氏(LGBT当事者)」をアンバサダーに迎えて厳しく監修をしているとか。とても素敵な空間になっているようで、プロモーション映像からもその様子が伺えます。
https://youtu.be/MYVqg1gNri4