スーパーボウル、ハーフタイムショーでのパフォーマンス
今年のスーパーボウルのハーフタイムショーを行ったイギリス出身のバンドColdplayのパフォーマンスがまるでプライドパレードのようだったと話題になっております。
毎年2月上旬の日曜日に行われるアメリカンフットボールの優勝決定戦が行われるスーパーボールは年間最高視聴率を記録する番組と言われています。2015年の視聴率は47.5%でした。この数字からもわかるように、多くのアメリカ人が注目するゲームであるのです。そして、男らしさの象徴であるアメリカンフットボールは今までLGBTとは無縁のような存在でした。2015年にアメリカでの同性婚が可能になったことで、アメリカ国内では反対派の問題行動が多くメディアで報道されています。また、スポーツ界ではまだまだLGBTへの理解が進んでいないことも確かです。今回のColdplayのパフォーマンスはそのようなスポーツ界へLGBTへの理解を求めたものだったのではないでしょうか。
スーパーボウルのハーフタイムショーとは
フットボールゲームの前半と後半の間のハーフタイムに行われるショーには毎年有名アーティストが出演することで有名です。マイケル・ジャクソンやマドンナもスーパーボウルのハーフタイムにパフォーマンスを行った経験があります。
このように、現在では世界的に有名なアーティストが出演していますが、以前はあまり有名ではないカントリーシンガーがハーフタイムショーに出演していました。そのため多くの視聴者がハーフタイムにチャンネルを変えてしまい、視聴率が10%も下がってしまっていたということです。
その回避策として有名アーティストの出演が始まりました。また、出演アーティストは無報酬でハーフタイムショーを行っており、交通費やホテル代等の必要経費は支払われているようですが、アーティスト個人が受け取る報酬はないと言うことです。(アーティストがチャリティー活動を行っている場合にその団体へ寄付を行うこともあります。)
イギリス出身のバンドColdplay
ロンドン出身のバンド、Coldplayは1997年に結成されました。彼らは国際人権救援機構の支持者であり、国際法に則り、死刑の廃止や人権擁護、難民救済などの活動を行っています。ボーカルのクリスはフェアトレードの推進活動も積極的に行っており、発展途上国から先進国に対する公正な商品の取引を求める活動も行っています。
また、バンドは企業との広告タイアップなどを避け、スポンサーの操り人形にではなく、アーティストとして自分たちの伝えたいことを伝える努力を心がけているようです。今まで幾つかの大企業から数億円の契約を持ちかけれていますが、その大半を断っています。唯一タイアップが実現したのがアップル社のiPod+iTunesのCMでした。
このようなバンドだからこそ、今回のハーフタイムショーを行うことができたのではないでしょうか。
アメリカの現状
2015年にアメリカでようやく同性婚が可能になりました。日本ではまだ実現していない同性婚ですが、一番早いオランダでは2000年12月に同性結婚方が成立し、2001年4月に法律が施行されています。イギリスでも2004年にシビル・パートナーシップ法が成立し、翌年2005年に施行されています。
LGBTへの理解がアメリカで遅れている大きな理由は、アメリカの歴史にあります。ヨーロッパからアメリカへ移民した多くの白人はプロテスタント系のクリスチャンでした。そのため、現在でも多くの人がプロテスタント系クリスチャンがアメリカに住んでいます。結婚というコンセプトが聖書から来ており、それを男女間と定めている聖書に反する行為である同性婚はクリスチャンにとって認めがたいことであります。また、同性間の性行為は最大の罪とされ、今でも多くの人がゲイへの偏見を持っていることは確かです。
ニューヨークやL.A.などの大都市ではいろいろな形のライフスタイルで暮らす人が多いため、LGBTへの理解も進んでいますが、中南部に至ってはまだまだ理解されていないのが現状です。このような人たちも多く見ていた今回のスーパーボウルでLGBTへの理解を訴えたColdplayのパフォーマンスはとても意味のあるものだったと思います。
ヴォーカル、クリスからのメッセージ
民主主義の国では自然とマジョリティが強くなり、マイノリティに目を向けられることが少なくなってしまいます。ですが、マイノリティの人権をも守っていくことが我々のあるべき姿なのではないでしょうか。
Coldplayのように日本でも自身の高名を商売としてだけではなくチャリティーや人権保護などの善行活動に使えるようなアーティストが増えてくれることを願います。
パフォーマンスの途中で、ヴォーカルのクリスが
「Whoever you are, wherever you are, we are in this together! Let’s go!」
(君が誰でも、どこにいても、僕たちは一緒だよ!さあ行こう!)
とメッセージを送っています。「君は一人ではなんだよ、僕たちが一緒にいるよ」というこのメッセージは一人で悩むことが多いLGBTの若者へ送ったメッセージだと私は思います。
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