レアジョブ会長「 LGBT差別を許容したい」
レアジョブ英会話 会長の日記 ~ Chances for everyone, everywhere. ~ にて「LGBT差別を許容する」という記事が掲載されている(※10月19日現在、削除されました)。ここでは「LGBTへの差別も許容したい」という、レアジョブ会長の意見が述べられている。これに関して、LGBTメディアLetibee LIFEを運営するLetibee 内で「差別とは何か」というテーマでちょっとした議論をしてみた。
外山(ゲイ) vs 林(ゲイ) vs 榎本(レズビアン)
外山:レアジョブ…
林:ヤベェなこの感覚。笑
榎本:ほう
榎本:はてブ等々見てる感じだと、これは炎上してしまいそうだね。
外山:差別を許容はいかんでしょ。それっぽいこと書いてるように見えるけど全然向き合ってない。中身空っぽなことしか言ってない。
榎本:「差別を許容すること」って、表現の自由にはあたるの?個人の自由というか。
林:まぁ日本だとあたるかもね。こんなの、アメリカとか欧州でやったら、もうクビなんじゃない? 今もうクビでさよならしてる笑 即日どころか 記事公開後3時間でクビ!みたいな。
外山:差別自体、意見でも思想でも無くない?
林:日本だと裁判所の判決もなければ法律もないから、こういう差別発言してもokなのかダメなのかわからない→まぁ罪になってないしいいんじゃない みたいな。ヨーロッパだと、差別禁止法があるからこれは犯罪行為なのでは?
榎本:この会長さんが例に出したユダヤ人の話も、差別禁止法があるから本来はだめだけど、その弁護士は表現の自由を重んじてくれたってことなのかしら。なんというか表現の自由は何ものにも勝る的な?
あるときアメリカで、ネオナチの男が、「ユダヤ人は全員収容所送りにすべきだ」と言った。
当然物議をかもし、裁判に訴えられた。
その男の弁護を買って出たのが、なんとユダヤ人の腕利き弁護士だった。
やがてその男と弁護士は裁判で勝った。
判決後のメディアインタビューで、男は弁護士にこう言った。
「今回勝たしてくれたことについて、お前に大変感謝している。
しかしオレはお前やその家族が収容所に送られるべきだと今でも思っている」
すると弁護士はその男にこう言った。
「あなたのその意見は心から軽蔑する。
しかしあなたがそれを言う権利は、命をかけて守る。」
林:その時代は差別禁止法とかなかったんちゃう?ユダヤ人の話も、にわかに信じがたい。むかーしあったことだとすればまぁそうかなと思うけど。
榎本:このブログ記事が言ってるのは、差別禁止っていいすぎて、思想、言論の自由まで侵害、抑圧しちゃうのはよくないぜってことなんだろうね。
林:うんそうだと思う。差別する人の人権みたいな。
榎本:「差別する自由」ってあるのかしらね、目の前で差別が原因の暴力が行われていても「まぁ、差別の自由もあるからね」とはならないよね。このブログ記事は「差別」という言葉が含んでいる不快感とかを超えたもっと重い部分を無視してしまっているように思えるね。
差別する人の人権
林:そもそも差別ってマジョリティからマイノリティに向けたものじゃない?ストレートを差別とか、ゲイバーならありうるけど、それもゲイバーではゲイがマジョリティ状態だからであって。白人社会だから黒人を差別するし 日本人が多い社会だから白人や黒人を差別する。つまり差別=弱いものイジメ=非人道的行為。
榎本:あぁ〜。差別は一方通行であり、明確な力関係のもとでしか発生しない、的な?
外山:(差別は)実際にある特定の社会的集団に対して理不尽に不利益を起こすことが差別。んーなんかそこに力関係は関わってこないとおもう。
榎本:たとえば、そのマジョリティとマイノリティの関係性の話でいうと、「100人の住民がいるA村」と隣町の「100人の住民がいるB村」の住人同士が差別しあう。っていうのは可能なのか、というかこれは「差別」という言葉になるのかな。なんというか互角であっても?
外山:差別になりうるんじゃない
榎本:敵対ではなく差別?敵対であり差別?
外山:なんらかの力関係がってより、不利益が発生しやすいというのが、権力、数、何かの要素によって上下関係が存在する場所、って理解したほうがいいのかな。
榎本:「なんらかの力関係がってよりは、ある特定のグループだからということで故意に不利益を与えること」が差別?
外山:だね
林:まぁそうか
榎本:例えば、わたしが50代のおじさんが嫌いで、嫌いすぎて面接にきても年齢部分だけ見て落とすし、SNSに50代のおじさんの悪口を書きまくる、「今日電車で加齢臭最悪だった!!ほんとおじさんって嫌!!生きてる意味がわかんない!」。これは差別?個人として50代のおじさんを嫌ってるだけ?(例えばなので、本当は嫌ったりしてません。)
林:50代であることが原因なら年齢差別なんちゃうん?
外山:面接に落としてる時点で不利益被ってるよね、みたいな。SNSに書くこともヘイトスピーチになってるよね
榎本:なんか、このブログの人の言ってることって「なんらかの力関係がってよりは、ある特定のグループだからということで故意に不利益を与えること」までいかなくても、「嫌いである権利」みたいなことを言ってるのかなとおもうんだよね。
外山:そうだと思う。それが個人だったらもうそれは個人同士の問題だけど、「50代のおっさんどもは」みたいな特定の社会的集団に対して言うとすると差別にあたるんじゃない。
榎本:外山さんというゲイがきらい → 個人の自由。ゲイがきらい → 差別 ってこと?
外山:ただ「差別」ってなると「嫌いである権利」に加えて、それを発信して相手に不利益を与えるところまでいくわけ
外山:外山さんというゲイがきらい → 個人の自由。ゲイがきらい → 個人の自由。ゲイがきらいであることに起因して、ゲイ達に対して不利益を起こさせる → 差別
榎本: (外山発言) “ただ、「差別」ってなると「嫌いである権利」にプラスアルファ発信して、不利益を与えるところまでいくわけ” ここだよね。たぶん重要なところ。
外山:そそ。差別を許容するということは、だれかが無意味に傷つくことを許容してるわけ。ただこのブログ中で「人が傷つくことをわかりながら、リスクテイクする」までを「差別」だと言っているってことは、「差別」は人を傷つけるということを理解しているんだよね。でもさらにそれを許容するとか言ってるから、発言としてダメだと思うわ。
差別とは何か?
何が差別にあたり、何が差別ではないのか?この問いへの答えは、今の日本では人によって回答が違う。あなたは今回のレアジョブ会長のブログ記事はNGか、それともOKか、どう思うだろうか?
画像引用元:ugly-duckling