PrEPの安全性を一定程度保証する研究が発表される
新しい研究で、HIV感染を予防する暴露前予防薬、通称PrEP(Pre-Exposure Prophylaxis)の副作用についての実験が行われた。その結果、バファリンなどの有名市販薬に広く使用されている解熱・鎮痛作用などをもつアスピリンと同程度の安全性が確認されたという。
PrEP(暴露前予防薬)って?
PrEP(暴露前予防薬)であるツルバダ(テノホビル・エムトリシタビン合剤)は、HIV感染前に日常的に服用することで、HIVウィルスに感染する確率を格段に下げる働きをもつ。HIVウィルスが体内に入ってきた際に、すでに体内にある薬がウィルスを撃退し、感染を防いでくれるのだ。この薬はWHO(世界保健機関)で承認されており、米国では感染のリスクのある男性が日常的に使用している。
一方で、いまだ多くのHIV関連団体は、薬の効能や長期的な服用によるリスクを懸念している。しかし、ある新しい研究により、これらの不安を少しは解消することができるかも知れない。
PrEPの副作用についての研究
この研究は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部のノア・コジマ(Noah Kojima)とジェフリー・D・クラウスナー(Jeffrey D. Klausner)によって発表された。
研究者らはPrEPの影響についての主要な5つの研究をアスピリンの安全性についての研究と比較し、報告された副作用の可能性に基づいて点数をつけた。ここでは、PrEPのHIV感染リスク減少への効き目や、副作用の点でアスピリンと同程度の安全性が見られたとする一方、これによって完全に安全性が保証されたわけではないと結論づけられた。
「男性・女性におけるHIV感染を防ぐPrEPの安全性と効能についての研究は、日常的な服用はHIV感染のリスクを減少させることを証明した。しかし、安全性についての懸念はまだ残されている。」
実用化に向けて
また、今後PrEPを有効に活用していく上で、「予防の義務」についても言及されている。
「HIV感染に対する抗HIV薬ツルバダの安全性や効き目が確認され、感染リスクの高い男性とセックスする男性の多くがPrEPの使用したいという意志があるのであれば、医者はこの薬によって効果を得られる可能性のある患者を積極的に探していくべきだ。
『予防の義務』は、医者が患者の習慣の中でHIV感染のリスク行動をとっているか見極め、規定通りにPrEPを処方することをすすめている。」
画像出典:Pink News