[2017更新] 同性パートナーシップ証明書、どこが出してる?なにが違う?

日本で同性パートナーシップを認めている自治体

 

2016年12月、北海道札幌市が政令指定都市として初めて同性カップルの宣誓書を受け取り、市として公認する方針を発表しました。男女間の婚姻制度とは異なるため、公的な支援が受けられるものではありませんが、これにより民間企業が行っているパートナー間の割引やサービスを受けることができるようになります。

全国ではこれまでに、東京都渋谷区、世田谷区、兵庫県宝塚市、三重県伊賀市、沖縄県那覇市がパートナーシップに関する要綱を発表しています。それぞれの自治体の条件や内容をまとめるとともに、これまでに制度を利用したカップルの組数の最新情報を掲載します。

国内のパートナーシップに関する政策を行っている自治体一覧

東京都渋谷区の「パートナーシップ証明書」発行

2015年10月から受付開始

◆証明書を受け取る条件

  • 渋谷区に居住し、かつ、住民登録があること。
  • 20歳以上であること。
  • 配偶者がいないこと及び相手方当事者以外のパートナーがいないこと。
  • 近親者でないこと。

◆必要書類

  • 二人それぞれの戸籍謄本または戸籍全部事項証明書(3か月以内のもの)
  • 公正証書の正本または謄本
  •  このほか、本人確認のための書類(次のいずれか 1 点)を提示。
    運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、在留カードまたは特別永住者証明書(外国人登録証明書)など

※公正証書は、①「任意後見契約公正証書」と、②「合意契約公正証書」の2種類の公正証書の正本または謄本が必要。

◆証明書発行を受けたカップルは

16組(2017年2月3日現在)

◆長谷部健・渋谷区長のコメント

「同性婚を認めるものとは違うが、風穴が開いたと思っている。差別をなくすことに対して、町として全力を挙げて取り組んでいきたい」

詳細はこちら

 

東京都世田谷区の「パートナーシップ宣誓書受領証」発行

2015年9月施行開始

◆宣誓書の提出ができる条件

  • 双方が20歳以上で区内に同一の住所を有するまたは、一方が区内に住所を有し、かつ、他の一方が区内への転入を予定していること。
  • パートナーシップの宣誓は、パートナーシップの宣誓をしようとする同性カップル(次の要件を満たすものに限る)が区職員の面前において住所、氏名及び日付を自ら記入したパートナ ーシップ宣誓書当該区職員に提出すること。
  • 費用は無料、予約制

◆必要書類

  • 運転免許証や住民票など、住所や年齢の確認できるものが必要

◆宣誓をしたカップルは

43組(2017年2月3日現在)

◆保坂展人・世田谷区長のコメント

「世界の流れでLGBTを理由に何か排除していくことはやめよう、多様性を認め合っていこうということは大きな流れですよ、ということは区として各界に向けて発信していきたいと思っています。」

「自治体が最初の一歩を進めることで、性的マイノリティーの皆さんが生きづらい社会から、互いに認め合う社会へ変わっていくのではないか」

詳細はこちら

 

兵庫県宝塚市の「パートナーシップ宣誓書受領証」発行

2016年6月より施行開始

◆宣誓書の提出ができる条件

  • 双方が20歳以上であること
  • 双方または一方が市内在住であり、一方が市内に住んでいない場合は市内に転入予定であること
  • 双方に配偶者がいないこと及び当事者以外の者と同性カップルでないこと

◆必要書類

  • 顔写真つきの住民基本台帳カード、個人番号カード、旅券、運転免許証など本人確認できるもの

◆宣誓をしたカップルは

0組(2017年2月3日現在)

◆中川智子・宝塚市長のコメント

「必要なのは市が寄り添う姿勢を打ち出すこと。より多くの人に利用してもらいたい」

詳細はこちら

 

三重県伊賀市の「パートナーシップ宣誓書受領証」発行

2016年4月より施行開始

◆宣誓書の提出ができる条件

  •  双方が20歳以上かつ独身であること。
  •  双方が市内に住所を有している、又は一方が市内に住所を有し、かつ、他の一方が市内への転
    入を予定していること。

◆必要書類

  • 住民票
  • 本籍地発行の独身証明書

◆宣誓をしたカップルは

4組(2017年2月3日現在)

◆岡本栄・伊賀市長のコメント

「いろいろな生き方が認められる、多様性を認め合う社会は、誰もが住みやすい社会ではないでしょうか。今年はG7の伊勢志摩サミットが開かれます。日本以外の先進国では、そういったケアができています。開催県の市として、そうした国際的な共通認識を市民と共有していくことが大事で、それが今だという風に思います。」

詳細はこちら

 

沖縄県那覇市の「パートナーシップ登録証明書」発行

2016年7月より施行開始

◆登録申請ができる条件

  • 双方が20歳以上であること。
  • 双方に現に配偶者がいないこと、かつ、双方に現に申請者以外の者とのパートナーシップの関係がないこと。
  • 双方が市内に住所を有するまたは、一方が市内に住所を有し、他の一方が市内への転入を予定している、または双方が市内への転入を予定していること

◆必要書類

  • 那覇市パートナーシップ登録申請書
  • 住民票抄本
  • 戸籍抄本
  • 本人確認ができるもの(写真付きは1点、写真がないものは2点確認します)
  • 申請者が外国籍など、上記の書類が提出できない場合には、市長が認める別の書類でも代替が可能

◆登録証明書を受けたカップルは

13組(2017年2月3日現在)

◆城間幹子・那覇市長のコメント

「我々もまだ一歩を踏み出したばかり。当事者が生きづらいと感じる状況を何とかしなければならない」

詳細はこちら

北海道札幌市

2017年度より施行予定

申請の条件などはまだ未定だが、互いをパートナーとする「宣誓書」を提出すれば、市として公的に認める書類を発行する。

 法律上の効力はないけれど…

いかがですか。自治体によって、この条例は「渋谷方式」と「世田谷方式」に分かれるようです。簡単に言うと、有料or無料

渋谷方式の場合は、公正証書の発行が必要。この公正証書は行政書士に頼むか公証役場に行く必要かあります。任意後見契約か大体1名20,000円だとしても、2名で約40,000円。準婚姻契約書も15,000~20,000円程度の費用が必要です。

世田谷方式の場合はカップルが電話で予約後、係員の前で宣誓するだけなので無料です。

この違いは何か?渋谷は”証明書”を発行してくれますが、世田谷区は”宣誓受領証”を渡してくれます。何かトラブルがあった場合、法的な拘束力としては、渋谷区のやり方の方が強いのでは、というのが有識者の意見です。

いずれにしても、同性パートナー証明書は「法律上の効力はない」のはどこも同じ。

ただし渋谷区の場合は、「LGBTのカップルを異性カップルと同等に扱うこと」を渋谷区が区民や事業者に「協力」を求め、この協力に反した場合、渋谷区によって事業者を公表するという罰則?が盛り込まれています。

海外で同性パートナーシップ制度や平等な婚姻が認められている国は、相続、税制、社会保障に関する全ての権利を同性カップルに対しても認める、または認める方向で動いています。(参照:諸外国の同性パートナーシップ制度

日本にも、まだまだ微風ながら同じ追い風が吹いています。冷たい冬はそろそろ終わり。新芽が出る春は、もうすぐなのかも知れませんね。

ライター:ぎりぎりへぶん
更新;名沢こう

もっと読む

READ  <渋谷区同性婚>11月5日から同性パートナーシップ交付開始!利用にあたり注意したい3つのポイント
READ  ライフネット生命、同性パートナーも保険受取人に指定可能に
READ  パナソニックが社内規定で同性婚を認める、以前から支持派だった?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です