勇気を出し、久しぶりに訪れた2丁目
ドキドキしながらSさんに連れられて行ったお店は、らせん階段の二階にあり、実はそこは友達のお店でした。
『あらー!まさし!久し振りじゃない!』
と暖かく迎え入れてくれました。Sさんとお酒を飲みながら友達(以降Kさんとします)と話をしていると、僕がどうして2丁目に出なくなったのかという話になりました。僕は勇気を出し、Kさんにこれまでのことを伝え始めました。
『あんたが弱気だから悪いのよ!』
全てを話し終えた僕をKさんは僕の頭を叩きました。そして、
『あんたが弱気だから悪いの!逃げて隠れている人間になんかいくらでも悪口・陰口はいえるのよ。言われたくなければ堂々としてなさい!』
そう怒られました。そして続けて、
『そんな奴が居たらここに連れて来な!ひっぱたいてやるから!』
と笑いながら言われました。その後しばらくお酒を飲みながら、久しぶりにあったKさんと話をし、Sさんと楽しく過ごしていましたが、Sさんの終電の時間が近づいていたので、お店を後にすることにしました。
『ここにはあんたを差別する人はいないから、いつでもおいで!』
そう言いながらKさんは僕を抱きしめてくれました。とても安心し、とてもうれしく思いました。去り際に『また来週ね!』と言って頂けたので、それから暫くKさんのお店に通い続けました。
最初の頃は2丁目を歩いている時に『死ね』とか『自殺しろ』といった僕を非難したりする声もありましたが、通えば通うほど書き込みもそういった声も無くなるわけではありませんがだんだんと減っていきました。
徐々に2丁目にも通えるように
以前のように色々なお店に飲みに行くことができ、普通に2丁目に居られる様になり、SさんにもKさんにもとても感謝をしておりました。その頃は毎週のように飲みに行っており、楽しく過ごさせて頂いておりました。
Kさんに少しでも恩を返したく、人が足りない時はKさんのお店でお手伝いをさせてもらうようになりました。大したことは出来ませんでしたし、お酒も強くないのでいっぱいいっぱい迷惑をかけました。それでも僕を必要としてくれていたKさんには心から感謝をしています。
お店で働き、Kさんに救われた僕はすっかりHIVのことは自分をしっかり持っていれば問題ないんだと思っていました。しかし、それは大きな間違いであることに気付かされることが起きるのでした。
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