カミングアウトは良いことばかりではない!?
カミングアウト。
LGBTにおいて使われるこの言葉は、自身のセクシュアリティを誰かに打ち明けること。わざわざ言わなくてもわかってもらえたなら楽ですが、なかなかそういうわけにもいきません。
では、いつ誰にどう言えばいいの?そもそも言うべきことなの?
そんな疑問もわいてきます。今回からの記事では、カミングアウトすることによって生じるメリットとデメリットを私の体験をもとにご紹介していきたいと思います。
大きなメリット「自分に嘘をつかなくてもいい」
以前の記事、「知っておきたい!恋バナをうまく切り返すには?」でも書いたように、LGBTは日常会話、とりわけ恋愛や結婚に関する話題では、自分のことを正直に話しづらいこともあるでしょう。あらかじめ自身のセクシュアリティを話しておけば、恋人の性別や結婚について濁さずにすみます。カミングアウトをしてあやふやな言葉を使って話す気疲れがなくなり、ありのままの自分でいられるというのは大きなメリットといえます。
そんな大きなメリットを念頭に置きつつ、今回はあえて3つのデメリットをあげてみます。
1.「アウティングの危険性」
カミングアウトは、信頼出来る場所と相手を選ぶことが大切です。さらに、他の人に広めてほしくない場合はその旨を一言必ず添えましょう。噂は思った以上に広まりやすいもの。「あの人LGBTなんだって」とどこで誰に言いふらされるかわかりません。
このように、セクシュアリティを本人の許可なく第三者に漏らしてしまうことをアウティングといいます。
これを防ぐには、“自分はどこまでカミングアウトしたいのか”をはっきりと自覚しておくと効果的です。仲の良い友人にだけ話して、他の人には知られたくないのか?それともオープンにして仕事にも活かしていきたいのか?こうしたことを見つめ直し、カミングアウトと共に相手にも伝えられるといいかもしれません。「本当に信頼している人にしか話していないから、他の人には言わないでね」と添えられれば、相手も不用意に言いふらそうとは思わないはずです。
2.「好奇心旺盛すぎる質問」
意外と多いのは、興味本位から歯に衣着せぬ質問が飛んでくることです。
私が大学時代に友人にカミングアウトしたところ、「AVで観たんだけど、レズビアンの人はこういう道具を使うの?」と大人のおもちゃの図面をわざわざ描いて質問をしてきた子がいました。
この時は、仲良くしたい友人だったので、「(そういうものを)使う人もいるんだろうけど、とりあえず私の知る限りではポピュラーではないかな」と思ったことをそのまま返答しました。
しかしこれは、仲が良かったからこそ私も冷静に返せたのであって、そうでない場合はお互いにしこりの残る会話になったかもしれません。
他にも、カミングアウトしたら性的なことを聞かれたという体験談はよく耳にします。
「セックスはどうしてるの?」「体はどうなってるの?」「下着やトイレは?」というような質問が来るかもしれない、目の前の相手はそれを投げかけてくるかどうか、また自分がそれに対応出来るかどうか、カミングアウトする前に考えてみるのも重要です。
3.「LGBT博士」
さて、このようにLGBTであることをオープンにすると、相手が今まで持っていた「LGBTへの疑問、ふしぎ」を一挙に投げかけられることがあります。
例えば、私がレズビアンだとカミングアウトしたある時、「じゃあ心は男ってこと?」「性同一性障害っていうのは〜」と話を広げられたことも。自分のカミングアウトでいっぱいいっぱいだった私は、それは私とはまた別で…と説明するのがやっとでした。当事者だからといって、あらゆるセクシュアリティを網羅した“LGBT博士”だとは限らないのも理解してほしいところです。
また、友人から「芸能人の○○ってゲイなの?」と噂話の確認をされることもありました。そこまで知らんわ!と一喝したい気持ちを抑え、「じゃあもし○○がゲイだったらどうする?」と聞くと、返ってきた友人の答えは「あ、全然いつもと変わらず応援するわ」でした。この時私は、何だか晴れやかな気分になったのでした。
さて、今回は以上の3つのデメリットをあげてみました。
カミングアウトするかしないかは、あくまでも個人の選択肢のひとつです。これからカミングアウトをしようか迷っている方、されてどう反応したらいいのかとお思いの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。