バービー人形のCMに、初の男の子起用で話題に。ステレオタイプの打開?それとも強調?

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世界初、バービー人形のCMに男の子登場!

整った顔立ちに青い瞳、輝くようなブロンドヘアと完璧なスタイル。日本のリカちゃんとはまた違ったイケイケスタイルを貫くバービーちゃんだが、今回話題の中心となったのは彼女ではなく、そのCMに登場する“男の子”の方だった。

お人形は女の子が欲するもの、を覆す。

新商品のバービーはイタリアの人気ブランド『モスキーノ』とコラボした限定品。話題のCMは今週からオンエアされており、バービーに似た女の子が二人と男の子が、楽しそうに遊びながら商品を紹介するというシンプルな物。

しかし、人々の関心を惹き付けたのは、バービーのCMが始まって以来56年の間で、初めてのLittle Boy の登場という事だけで無く、これまで“女の子の欲しがるおもちゃ”として売り出されていた人形というカテゴリーに、男の子を加えた新しさにあるだろう。

バービーは性別関係無く遊べるお人形だという事は伝わるし、この試みはとても嬉しく、世の中一歩前進したではないか、と感じる。

…….が、賛否両論あるのにはそれぞれの理由がちゃんとあるのだ。

登場する男の子のセクシャリティーは?

『このCMすごく気に入った!』『登場する男の子がキュート。この試みを讃えたい』などの賛同意見が多く見られる中で、“男の子の描き方”について疑問を抱く声もあった。

確かに、歳に合わないヘアスタイルや仕草、最後のウィンクまで、どう見ても“ゲイ”を想像させる。逆にそれがステレオタイプだよ、と言われてしまえばそうなのかもしれないが、彼が言う『So Fierce!』(超カッコいい!)という言葉に、視聴者は確信をしたようだ。

Fierce という単語、元は ‘獰猛な/凶暴な’ という意味の形容詞で、それが『ゲイスラング』として広まったのは80〜90年代のNYでの事。「カッコいい」や「最高!」といったニュアンスでゲイコミュニティで使われ始め、今ではヘテロ女性やレズビアンの間で良く使われている。つまり、フェミニンな印象の言葉だということ。

遠回しに“フェミニンなゲイボーイ”と限定している様にも思える結果となった。

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ゲイとして、譲れない思いとは?

世の中の理解を深めるには良い事なんじゃないの?そう考え過ぎなくても、実際バービー欲しがるのはこんな感じの男の子でしょ?

というのが大多数の考えだったりする。そう思う多くは女性であったり、俗に言う腐女子であったりする。

しかし、ゲイ本人からすると全く違う心情でこのCMを観ているようだ。

“ステレオタイプを強調してるだけ…”

Moschinoの発音がやっと分かってスッキリした、とのコメントに頬が緩む中、こんな見解があった。

『自分はゲイだけど、フェミニン過ぎる男の子を起用した事がちょっと引っ掛かる。色々なバリアを壊す為のCMなハズなのに….ステレオタイプを強調してるだけ。』

ゲイコミュニティではフェミニンが流行ってるし、良いじゃん。というコメントや、バリア云々なんて考え過ぎ!といった返信に対し、彼は

『視聴者側は、バービーは女の子の物というステレオタイプを壊すという製作側の意図を感じ取っており、だから余計に、ゲイは皆フェミニンだという固定観念を盛り込んだCMに疑問を感じている。平均的な男の子を起用すれば、もっとメッセージは強いものになっていたはず。』

と続けた。

この意見に同感の声も多数あがっており、当事者ならではの“物事の見方”を知る事ができた。

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アナタはこのCM、どう思いますか?

一見すれば、マイノリティとメジャリティの距離を縮める素敵な一歩に見える今回のCMだが、言われてみればステレオタイプの塊なような気もする。

この記事を読んでいる日本の読者は、どう感じるだろう。また、逆にボーイッシュな女の子や女性が、“男っぽい”カテゴリーに登場した場合、どうだろうか。

ステレオタイプは一度根付けば中々払拭できない、厄介な心の癖だ。しかし、LGBTQに対する関心も理解も徐々に深まりつつあるのも現実だ。お互いが心地よく、納得できる世の中になるには、あともう少しなのかもしれない。

画像出典:NY Daily News

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幼少期と大学生時代をアメリカで過ごす。 まだ短い人生をゆるりと生きております、翻訳ライターです。 海外のLGBTQ関連の記事を、時に面白く時にしっとりと翻訳し、皆様に届けたいと思っております。