養子縁組で親子となった同性カップル、同性婚合法化後に結婚しようとするも拒否される
養子縁組で法的に家族となっていた同性カップルは、今年6月の米国全州での同性婚の合憲判決を受けて、養子縁組を取り消し、正式に結婚しようと試みた。しかし、法的には父親と息子という関係であったために、その要求は拒否されてしまった。
養子縁組をしていたカップルの要求
Nino Espositoと彼のパートナーであるRoland Boseeは、米国で同性婚が成立する日が来るなんて思ってもいなかった。今年の夏に連邦最高裁が全州での同性婚合憲判決を出す前に、NinoとBoseeは養子縁組を使ってすでに家族となっていた。CNNによると、法的に家族になるために養子縁組を使う同性カップルは米国でも少なくないという。
2012年には、彼らは付き合って40年目を迎え、養子縁組を決断するに至った。現在、彼らは結婚をするために養子縁組の取り消しを望んでいる。しかし、アレゲニー郡の民事訴訟裁判所の裁判官J・オトゥールは、養子縁組の取り消しは詐欺などの特別な場合を除いて認められないと主張しており、彼らの要求を拒否している。
CNNに対し、2人は以下のように話した。
「(養子縁組は)僕たちが利用できた法的なつながりを得られる最良の手段だったんだ。」
「僕たちは正式に結婚できたことに気づいたんだ―僕たちが望んでいたものだ。」
J・オトゥール裁判官は、「この状況に気を配っている」としながらも、「彼らは法の下では父親と息子であるから」彼らは結婚できないという立場は揺るがなかった。
カップルの要求への周囲の反応
ペンシルベニア州の米国自由人権協会(ACLU)は、J・オトゥール裁判官の判断は妥当だと考えている。ACLUの法務ディレクターのヴィトルド・ワルザックはCNNに以下のように語った。
「ACLUは、養子縁組をした同性カップルが最終的に合法的に結婚する権利を行使できるよう、最高裁が養子縁組を無効にする法的原則を適用してくれることを願っている。」
民主党のボブ・ケイシー上院議員は、司法省に対してNinoとBoseeのカップルを支持するよう要求しており、以下のように手紙の中で述べている。
「LGBTのカップルは、彼らがどの州・管轄区域に住んでいようとも、婚姻の許可を得る権利が与えられるべきだ。このような養子縁組のケースについては、養子縁組が最初に実施されてから法律は劇的に変化してきている。」
司法省は現在ケイシー議員の手紙を検討しているところだという。
日本の現状
日本ではこれまでのところ、同性カップルがパートナーとして法的な保護を受ける方法はない。渋谷区や世田谷区が同性カップルのパートナーシップを公的に認める証明書などの発行を決定したが、これらの証明は法的拘束力を持たない。そのため家族として法的な保護を受けるために、今回のNinoとBoseeのように養子縁組を選択する同性カップルもいる。しかし、一度親子として養子縁組を結んでしまうと、仮に日本で同性婚が成立したとしても、今回の件のように結婚をすることができない可能性もあるという問題点もあるのが現状だ。
画像出典:LGBTQ Nation