東京で梅毒が大流行中
東京都感染症情報センターによると、2015年の今年、梅毒が東京で大流行しています。過去25年間で最悪の感染者数を記録します。
2014年の梅毒感染者数を既に更新
国立感染症研究所によると、2014年における日本全国の梅毒感染者数は1,661件です。2015年10月25日時点では既に全国で2,037件の感染が報告されています。
東京では去年の2倍に迫る勢いで増加中
2015年11月現在、東京における今年の梅毒感染者数は約850人に達しました。2014年の梅毒感染者数は約500人なので、去年の2倍に迫る勢いで増加しています。
感染原因の8割は男性
国立感染症研究所には、梅毒の感染に関して以下のような記述があります。
特に男性同性愛者(MSM:men who have sex with men)の中で、HIV感染症および梅毒の流行がみられている。感染症発生動向調査からみた国内の流行状況からは、梅毒感染者の約8割を男性が占めており、男性感染者の多くが同性間の性交渉による感染であることが明らかにされている。
また、HIVポジティブで男性として男性と性交渉をする人は、HIVネガティブの人よりも感染する確率が約5倍高く、治療の失敗率も高いため、特に注意が必要です。
HIV感染症を有するMSMは、HIV感染症を有さないMSMと比較して、梅毒罹患率が約5倍であると報告されている。(中略) 梅毒への治療効果について、HIV感染者は非HIV感染者と比較して、治療が不成功となる可能性が高いことが知られている。
梅毒の恐ろしさ
梅毒は、症状の重症度にもよりますが、抗生物質の投与により治療することができます。しかし、梅毒は治療法が確立されたとはいえ実はいまだに非常に恐ろしい病気なのです。主に感染後の期間は、4つの期間に分類されます。
- 第1期…約3週間の潜伏期を経た上で、ブツブツやしこりが感染した部分に現れます。口の中や舌、指などにもできますが、性器にできた場合は特に要注意です。
- 第2期….3~12週間後にはバラ疹(バラのような色の湿疹)、盛り上がっていてブツブツしたものが身体の様々な部分に発生、脱毛などがおきます。ただしあまり重い症状ではないため、ここで気づかなかった場合、長期の潜伏期間に入り体内に潜伏します。
- 第3期…感染から3~10年後、皮膚や骨から内蔵にまで体中に硬いコブができ、周囲の組織を破壊していきます。
- 第4期…感染から10~25年後、梅毒の末期です。大動脈にコブができたりするとともに、神経や脳に梅毒が侵入するため、痴呆症が重い脳障害などを発症します。ここまで来てしまうと、ほとんど助かる見込みはありません。
HIVとの重複感染で、とても危険な状態に陥りやすい
梅毒に感染していると、HIVに感染する確率が上昇します。さらにHIVに感染した上で梅毒に感染した場合、梅毒の治療に失敗する確率が上昇します。
放置すると死に至る上、早期症状に気づきにくい
早期に症状に気づき治療しなかった場合、抗生物質による治療でも最長で12週間ほどの時間が必要になります。また、第3期と呼ばれる期間においても放置した場合、神経系や脳に菌が侵食し、死に至ります。また、国立感染症研究所などによると、最近流行している梅毒は、しこりやブツブツが出る早期の症状が出ないまま梅毒の潜伏期に入ってしまった患者が多いという情報もあります。心あたりのある性交渉や、症状のある人は早期に検査をし、治療をしましょう。
男性同士の性交渉が主要な原因で爆発的に増加している
こちらのグラフをご覧になるとわかりますが、もともと梅毒は異性間による性的接触が主な要因になっていましたが、昨今では同性間、それも男性同士の性的接触による感染が増加しています。これには”「自分は同性の男性と性的接触をした」と回答できる人が増えた”という要因もありうると思いますが、なんにせよ男性同士で性的接触をする人には特に注意が必要です。
感染しないために
では、梅毒から身を守るためにどうすればいいのでしょうか?以下に対策をお伝えします。
1. 不特定多数の人との性交渉を避ける
最善の予防法は、不特定多数の人との性交渉を避けることです。特定の人とのみ性交渉をするようにし、
2. 必ずコンドームを使用する
性交渉を行う場合、必ずコンドームを使用するようにしましょう。コンドームを使用することで、梅毒だけでなくHIVなどといった他の性感染症も防ぐことができます。また、オーラルセックスでも梅毒は感染することがあります。極力オーラルセックスなどでもコンドームを使用するようにすると、より予防につながります。
3. 定期的にSTDチェックをする
保健所や、STDチェッカーなどを利用して定期的に性感染症の検査をしましょう。梅毒は潜伏期間があったり、一見風邪に思えるような症状を起こす時期があるので、症状から梅毒だとわからない可能性があります。発見が遅れてしまうと重症化し、死に至ることもあります。病院やSTDチェッカーを利用するとお金がかかってしまいますが、保健所なら無料で検査を受けることができます(ただし保健所によるので、確認が必要です)。梅毒だけでなくHIV、淋菌感染症、クラミジアなどといった他のSTDのチェックも受けることもできます。
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