新しい呼び方
The Independentによると、オクスフォード辞書 に新しい単語 “Mx” が登録された。英語では男性に対してMr(ミスター)、女性に対してMs(ミス)もしくはMrs(ミセス)と呼ぶことは周知の事実だが、この度新しくMx(ミクス)が正式にオクスフォード辞書に登録されたのである。
男性でも女性でもない
オクスフォード辞書によると定義は以下の通りだ。
名詞。自分が男性でも女性でもないというアイデンティティを持つ人や、自分のジェンダーを明確に特定したくない人が、名字やフルネームを言う前に使う敬称。
例えば、このように使われる。「自分は男性でも女性でもないと感じていたり、ジェンダーを特定されることを好まず、MrやMs, Mrs などといった敬称に違和感を感じているような人がちょうどよく使える”Mx”を、ある銀行は導入しようと考えている。」
発音記号は /məks/ もしくは /mɪks/ なので、日本語にすると “ムクス”もしくは”ミクス” となるが、Mr やMs などがミスター、ミスなどと言われることから、日本では”ミクス” と呼ぶのがちょうど良いだろう。
起源と変遷
“Mx” はM とx をくっつけているが、これはMr やMs などにある “M” に、”不明” という意味のあるXをつけたものだ。実際、”Xジェンダー”など、男性でも女性でもない性自認の人を指す意味で”X”は既に使用されている。1980年代に生まれ、イギリスの多くの政府機関や企業などがすでに使用しているのだという。また、インターネット上では1982年の頃から Ms やMr を使うなんて遅れている、と言っているユーザーもいたそうだ。ブライトンなどの街では2年前に既に役所にてMx をフォームの性別欄にいれており、ロイヤルメール(イギリスの郵便局)は顧客からの要望により、Mx の導入を始めたそうだ。スコットランド・ロイヤル銀行などといった銀行でもMx を導入し始めている。
日本ではどうか?
Mx を導入することに関する各国の記事を読んでいると、「本来、人は人をジェンダーによって判断してはいけないはずだ」という文言に出会った。日本に住んでいると、「女性は控えめでおとなしくしてなくてはいけない」、「男性は会社でたくさん働くものだ」、「女性はあまりご飯を食べないものだ」といった性別に準じた社会的規範を人々が求めているように思うことが多い。だが、この社会的規範は間違っている。女性だって控えめでおとなしくない人もいれば、男性で専業主夫をしたい人もいるし、食べることが大好きな女性だっている。それに男性でも女性でもない人はどうすればいいのか。
こういった性別に対して社会的役割や属性を押し付けられるのは、日本の工業化社会にあった社会的規範の遺産だ。工業化社会、つまり日本が高度経済成長期にあった頃は男性は外で働き、女性は家で家事をし、男性は横暴にあり、女性はおしとやかにいることが経済成長をするために合理的だったのである。
日本はまだまだ男性・女性の役割分担や社会的規範を求められることが多い社会なので、イギリスのように男でも女でもない呼び方はまだ今は早いのだろう。彼は男、彼女は女を表すが、男性でも女性でもない人がいたとき、あなたはどういう呼称でその人を呼ぶだろうか?
画像出典:New site maps gender-neutral restrooms in Chicago