性同一性障害の治療に必要な3つのステップ

性同一性障害 治療

性同一性障害の治療

トランスジェンダーということをオープンにしていると、『GIDの治療をしたいんですが、どうしたらいいんですか?』という相談を受けることがあります。正直『どうしたら、と聞かれても。。』と困ってしまうのですが、よくよく聞いてみると、治療についての知識が断片的だったりします。

『ホルモン注射打ちたいんです!どこで打てますか?』
『胸取りたいんです!どのくらいお金かかりますか?』
といったような相談には『ちょ、ちょっと待とうか!』と制してしまいます。

トランスジェンダーにとって『治療をするかどうか』はとても大きな決断です。また、『どの段階までの治療をするか』についても悩むところですね。

一方で、当事者以外の中には『そもそも治療ってどういうことするの?必要なの?』という人もいると思います。その理由には、当事者の人に直接聞くのも気が引けるし調べてみても専門用語などが多くてわかりにくい…ということが挙げられます。
本記事では、治療の全体像をわかりやすさ重視で解説していきます。

どこの部分の治療か?

身体の性を心の性に合わせるために『主に、身体への治療』が行われています。一昔前までは、『心の治療』と称して心の性を治すため身体的に苦痛を与えるような荒療治をしていた時代もありました。しかし、そのような非人道的な治療は現在の日本では行われていません。
『主に』という言葉通り、ステップ1には精神科での診察があります。GIDの治療としては軽視されがちなステップですが、身体的治療の前後についての精神的なケアのためにはとても大事なステップだと考えています。

ステップ1 精神的な安定

『精神科や心療内科への受診って必要?』
治療に不安を感じる人、外科手術を望む人は必要です。

後戻りできない身体的な治療には安定した精神状態が欠かせません。特にトランスジェンダーが抱える問題として鬱病などがあります。身体の性への違和感が苦痛となって心を病んでしまうことが多いのですが、中には精神的な不安定さや社会適合への欲求が原因で「自分はトランスジェンダーかもしれない」と考えてしまう人もごく少数ですがいます。そういったことも踏まえて、専門医の力を借りることは決して弱さではないです。

*性同一性障害(GID)の診断書はこのステップで取得します。

ステップ2 ホルモン療法

『望む性になれるの?』
ホルモン療法をすることで声や体型などが望む性に近づきます。

巷ではよく言われることですが、ホルモン治療は魔法の薬ではありません。もちろん副作用もあります。身体はすぐに劇的には変化していきませんので、とてもゆっくりとした変化です。また、ホルモン療法はほぼ一生継続していかなければいけません。正しい知識と、自分の身体の管理をできなければ、すぐに体調を崩してしまいます。
また、GIDの治療としてホルモン療法ができると公表している病院は少ないです。特に地方では皆無です。ぼくは、地方に住むときに周辺の病院にホルモン注射を打ってもらえないかと片っ端から電話したこともあります。

ステップ3 外科手術

『手術ってすぐにできますか?』
簡単にはできません。診断書が必要、ホルモン治療歴が必要なものがほとんどです。

後戻りできない治療です。自分の身体が変化するのはもちろんですが、それにともなって周りの環境も変化することも考慮します。『こんなはずじゃなかった。元に戻したい。』ということはできないんです。また手術に100%成功するということは言えません。そのリスクをきちんと受け止められる精神的な強さや覚悟が必要です。
このステップ1〜3は簡易的なもので、細かいものは省いています。この通り進む必要もありません。治療はどのステップが自分に必要なのかを見極めて選びとっていくものです。

治療後の将来を大切に

治療を始めたいと焦る人の中には、『今、このくらい辛い思いをしているから』ということに焦点を当てがちです。確かにその辛さを取り除くことも大事ですが、治療によって将来がどう変わっていくのか、どう生きたいのかということを思い描くこともとても重要です。治療は人生の目的ではなく、人生を自分らしく生きるための手段でしかないということを念頭に置いておくことです。

『自分はGIDだ!治療しなければ!』ではなく、人と会って話を聞くことや、情報を取捨選択しながら集めていくことをしてみてください。きっと、治療だけではなく自分らしく生きることができる道が広がるはずです。

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猫と自転車と珈琲が好き! 1987年生まれ、宮城県出身。トランスジェンダー(FtM)。 2010年性別適合手術、2011年戸籍の性別訂正完了。 女子高出身、大学浪人、フリーター、東日本大震災の被災者支援。 現在、佐渡島の大自然の中で学生してます。