「LGBTI 支援宣言」に宗教団体や市民からの圧力
今年の8月、韓国の省庁である女性家族部(英:Ministry of Gender Equality and Family)は、テジョン市に対して「LGBTI 支援宣言」についての記事を削除するように指示を出した。「LGBTI 支援宣言」は、ジェンダーによる格差解消運動の一環として行われたが、クリスチャン団体や、LGBTI 当事者に反感を抱く人々からのクレームが関係省庁・テジョン市に寄せられ、記事削除を公式に命令することになったとのことである。
LGBT活動家の審議会への招待も取消
一方で、LGBT活動家たちが女性家族部の審議会に参考人として招待されたにもかかわらず、招待連絡を受けてからたった数時間後に「招待の取り消し」をされたという出来事も起こった。
この審議会は、テジョン市に対する記事削除命令の是非も含め、女性家族部の活動について意見・評価を行うという趣旨のものであった。しかし、一方的な招待取り消しについて、人権法律家のリュウ・ミンヒ氏や、LGBTQ支援団体ディレクターのチョン・ミンスク氏らは「(審議会から)閉めだされた」と述べている。
今回の招待取り消しは、女性家族部のヨウ・スンヒ議長によって決定されたとのことであるが、スンヒ議長の事務所からは「活動家たちが審議会に参加することを拒否したわけではない」との回答がなされている。
テジョン市民からも「LGBTI 支援宣言」への反対意見
今回、記事を削除する直接的なきっかけとなったのは女性家族部からの削除命令であったが、一方で、テジョン市民からも「LGBTI 支援宣言」に対する反対意見があったとのことだ。テジョン市の地方政府職員は、記事の削除について、次のように語っている。
「女性家族部から削除依頼を受ける以前からでさえ、私たちは記事を削除することを計画していました。なぜなら、たくさんの反対意見が市民から寄せられていたからです」
また、LGBTI 支援宣言については次のように語っている。
「当初、『ジェンダーの平等運動』にはLGBTI 当事者を支援することも含まれていると私たちは考えていました。しかし、今回の出来事で、LGBTI 当事者への支援を明言することはできなくなりそうです」
日本と同じく、地方自治体から公的な支援運動が始まろうとした韓国だが、日本よりも運動に対する風当たりがまだまだ強いのが韓国の現状であるようだ。
〈画像引用元〉 Wikipedia 出典:Gaysternews