学生にとって最も重要で、そしても最も不安なイベントといっても過言ではないもの…それは就職活動。略して就活。LGBT、LGBTでない人問わず、みんな不安なこのイベントだが、LGBTの学生には、「ESの性別欄なんて書く?」「面接でカミングアウトすべき?」「そもそもLGBTも働きやすい会社ってどこ?」など、LGBTならではの悩みがつきまとう。でも周りにLGBTの人がいなければ、相談しようにも相手がいない…。
そこで実際LGBTの人がどうやって就活しているのか、LGBTの就活生や内定者、新社会人に集まってもらい実体験を語ってもらった。
今回集まってくれたのは
ゆずま…19年卒。MtXトランスジェンダー。「からだの性は男性、中性的でありたいと思っています」
もも…19年卒。FtXトランスジェンダー。「からだの性は女性、性自認は中性です」
みきと…19年卒。男性として男性を好きになる、ゲイ。
とも…18年卒。ソーシャルベンチャー企業に内定。女性として生まれ、自身を男性と認識する、トランスジェンダー男性。
きょうへい…社会人1年目。元不動産会社勤務、現NPO法人ReBit職員。女性として生まれ、自身を男性と認識する、トランスジェンダー男性。
働くことに対して何が1番不安なのか
職場での服装が一番不安かな…。今は学生だし、男性っぽい服装してても別に誰にも何もいわれないけど、もし会社でスーツで働くってなったら、スカート履け!とかって言われたら…まじで嫌だな。そういう会社では絶対働けないなあと思う。あと、福利厚生面で同性パートナーへの保障がちゃんとあるのかも不安。
どんな企業が、LGBTに対するサポートや制度を整えているかっていうのは、LGBTのイベントに参加している企業のリストとか、「PRIDE指標*」でチェックしたりしていました。でも、実際の現場の雰囲気とかも知りたいから、その会社のLGBTの社員に話を聞きに行けたらそれがもっといいけど。
*企業のLGBTに関する取り組みを評価・表彰する指標
気になる、職場でのカミングアウト
どうかなぁー…まだ決めてない。でもカミングアウトしないってことは、色々と話せないことが増えそうで、ストレスだなぁ。職場でのコミュニケーションって大事だと思うけど、ひとつ隠すと、そのボロがでないように気をつけなきゃいけないから、話せることが少なくなって、どんどんコミュニケーションが少なくなって、職場で「アイツなに?」みたいになっちゃうんじゃないかって心配。でもその反面、カミングアウトして受け入れられなかったら働きづらくなるだろうから、今から結構迷ってる。
僕の周りだと一部の仲のいい同期とか、信頼できる上司とかにだけは話してるって人が結構いるかな。やっぱり誰にも全く話せないってのは辛いし、かといってよく知らない人まで知られるのは嫌だし。LGBTやアライ(LGBTを理解・応援する人)の社内コミュニティがある会社もちらほら聞いたことある。
面接でカミングアウトする派?しない派?
「Xジェンダーです」って面接で言うと、「何それ?」って絶対なるから、いちいち説明するのがすごく大変だし、面倒くさい・・・。自分の頑張って来たこととか志望動機について伝えたいのに、限られた面接時間をそれに使っちゃうのももったいないし。
あと、学生時代に頑張ったこと話す時に、LGBT系のボランティアの話をしたいけど、それ言ったらカミングアウトになっちゃんじゃないかって心配。 でもそれが本当に頑張ってやってきたことだし、そのことを通じて学んだことも伝えたいから、やっぱり話したい気持ちはある。
あるレズビアンの先輩は、カミングアウトした職場もあればしなかった職場もあるって。相手の様子を伺いながらうまく話す内容を変えてたらしい。カミングアウトをする、しない、が大事なんじゃなくって、なんか困ったことあったら相談できそうって思う人やがいる職場で働いていたいなとは思う。
面接の服装は?性別欄はどうする?
僕は面接は全部、男性用スーツで、名前も男性の名前でいった。履歴書の性別欄は空欄にしておいて、自分で「セクシュアリティ」っていう欄を作って、「身体の性=女性、心の性=男性」って書いてた。で、それを面接のときに説明してた。男性として働きたかったから、面接でカミングアウトして拒否されたら、そんな会社では働けないし、ちゃんと面接で言おうと思ってた。
僕も、男性用スーツ、男性の名前でした。結構前から絶対そうしようって決めていた、というのも、女性的な身体とか名前のままで就活するのが本当に不安だったから。そのために大学1~3年生の間に必死で準備した。就活に間に合うように、胸の手術したり、名前変えたり…。金銭的、身体的負担が大変だったけど、そうしないと就活できる気がしなくて…。でも、実際に就活をしてみると、戸籍の性別に関係なく望む性別で働いている先輩にも多くあえたり、性別でなく能力や人間性で評価してくださる企業にも多く会えた。当時の自分に会えるとしたら、様々な選択肢があることを伝えたい。
情報収集、OBOG訪問とかしてる?
所属しているLGBTサークルの先輩社会人に話は聞いた。参考になる話は聞けたけど、でも自分と似たセクシュアリティの人がいなくて、なんか違うな・・・って感じた。LGBTっていってもそれぞれに悩みとかは違うしね。
合同説明会行こうと思ったけど、自分が行っていいのかなとか、服装も何を着ていこうかとか、自分にとっては結構ハードル高かったな…。
LGBT向けのワークイベント「RAINBOW CROSSING TOKYO 2017」とは?
きょうへいさんが現在働くNPO法人ReBit(りびっと)では、10月21日(土)にLGBT向けのワークイベント「RAINBOW CROSSING TOKYO 2017」を開催予定(http://lgbtcareer.org/rainbowcrossing/)。主にLGBTの学生/就活生/求職者/社会人と、LGBT施策に取り組む企業、そして就労支援者の三者が集まり、交流や、意見交換を通して「自分らしくはたらく」ことについて一緒に考えるイベント。参加予定企業は、JAL、NEC、丸井、NTT、アクセンチュア、Googleなど多種多様な業種から18社。年齢、セクシュアリティ不問で、服装も完全に自由。去年に引き続き今年は2回目の開催だ。
去年「RAINBOW CROSSING TOKYO」行った?
去年は先輩に誘われて行った。自分の行きたい業界の企業は参加してなかったけど、行ってすごくよかった。企業で働いているLGBTの社会人の話を直接聞けて、あぁ自分も働けるんだ、っていう前向きな気持ちを実感できててすごく自信に繋がった。
化粧品メーカーの個別企業交流ブースが印象に残ってる。その会社のLGBTへの取り組みの紹介だけじゃなくて、すごく情熱をもって自社製品の説明をしてくれて、それがすごく感動した。セクシュアリティに関係なく自分の好きなことに情熱をもって働いてる大人って素敵だなって思えた。
今年の開催は
行きたい!企業の人に直接色々質問できるのが嬉しい!企業の人も、そもそもLGBTの参加者が多いってわかってるから、普段の合同説明会では聞きにくいこともすごい聞きやすいと思う。いっぱい質問したいことある(笑)。
服装が自由なのはすごく自分にとって行きやすい。去年も私服の人が多かったし、参加者も企業の人も。今年は白シャツとデニムパンツでいこうかなと思ってる。
入退場も自由だから、好きな時間にふらっと気軽に行けるしね。撮影完全NGな時間帯*が設けてあるから、カミングアウトしてない人も安心ほしいな。
「カミングアウトしてはたらきたい人向けのイベントでしょ?」って言われることがあるけど、カミングアウトしないで自分らしくはたらいているLGBTの社会人の話もたくさん聞けるから、いろんな人にきてほしいなあと思う。
*撮影完全NG時間:15:30~19:00(14:30~15:30はメディアの撮影が入ります)
LGBTとして就活すること、そして働くこと。まだまだ社会の環境が整っていなことから、不安や悩みを抱えるLGBTの人は多いのが現実のようだ。ただ、LGBTを含む誰もが働きやすい職場を目指して、職場改革を進める企業がどんどん増えているのも確か。省庁や自治体も動き始めている。また、就活生たちの力になりたいと思っているLGBTの社会人や、一緒に悩みを共有しあいながら就活頑張っていきたいと思っている同世代もきっとたくさんいるはず。そんな企業、LGBTの先輩社会人、LGBTの学生、そしてアライが一度に集まる「RAINBOW CROSSING TOKYO 2017」。就活生も、そうじゃない人も「自分らしくはたらく」ことについて考えてみるきっかけとして、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
【参考情報】
RAINBOW CROSSING TOKYO 2017
http://lgbtcareer.org/rainbowcrossing/日時:2017年10月21日(土)
第一部(企業担当者・就労支援者向け):10:30~13:15 (開場10:00)
第二部(学生・求職者向け):14:30~19:30 (開場14:00)場所:ベルサール飯田橋ファースト(東京都文京区)
主催:特別非営利活動法人ReBit(りびっと)http://rebitlgbt.org/
参加費:無料(※要申し込み)
申し込み:http://lgbtcareer.org/rainbowcrossing/コンテンツ(一部抜粋):
・各企業との交流ブース
・各企業による講演
・LGBTの社会人との交流ブース
・オーダーメイドスーツ採寸
・メーク講座