ニューハンプシャー州の共和党議員が同性愛の矯正療法の禁止法案を提出
アメリカのある若い共和党議員が、ニューハンプシャー州で未成年の性的指向を変えるための治療を禁止すべきだと提案しており、これは来年1月に共和党議員が再招集される際に摩擦が生じるとみられている。
州議員の主張
ニューハンプシャー州議員のErick Schleien氏(27歳)は、いわゆる「矯正療法」によって性的指向を変えるのは不可能であり、またその矯正療法は危険なことににつながり得ると考えている。しかし、共和党内部には、彼の主張が宗教の自由や親の権利に反すると述べる議員もいる。
「僕たちの文化は違ったライフスタイルを受け入れ、敬意をもって人と接することでより強くなっていくのだと思います。」「ほかの人のセクシュアリティは変えられない、それは多くの人が分かっていることなのです。」とSchleien氏は話す。
アメリカにおける矯正療法の禁止
Schleien氏の法案が可決されると、ニューハンプシャーは矯正療法を禁止した5番目の州になる。アメリカ心理学会やほかの主要な健康機関はその療法の効果を信用できないとしている一方で、一部の共和党議員はその療法は適切だと考えている。
アメリカでは、2012年に初めてカリフォルニア州が矯正療法を禁止している。その後、ワシントンD.C.、ニュージャージー州、オレゴン州、イリノイ州が続いた。
若者世代への影響
「私たちは少数派の権利を得るときにはいつも人々の反発にあいます。」「残念ながら、若い世代がこの反発に直面しているのです。」と 、全国的な矯正治療の禁止運動を行うNational Cender for Lesbian RightsのSamantha Ames氏は語る。
矯正療法は、同性愛の写真を見せながら吐き気を催す電気ショックを与えたり、催眠療法を使用したりするのだという。
ある研究では、この矯正療法を受けたレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの10代の若者の自殺・薬物乱用・うつ病に陥る可能性が高いことを明らかにしている。
また、Family Acceptance Projectによる研究では、LGBTであると自認する人の3分の1が思春期に矯正療法などを受けているという。具体的に何人が矯正療法を提供しているかを明らかにするのは難しく、またニューハンプシャーでどれくらい頻繁に治療が行われているのかもはっきりとはわかっていない。
Schleien氏の法案では、ある分野の専門の免許を持つカウンセラーが未成年者への矯正療法を提供することは、免許の権限によって専門外の行為までも行っていると見なしている。またこの法案により、詐欺行為として矯正療法を行う者に対しての取り締まりも行いやすくなると考えられる。
宗教の自由、親の権利と矯正療法の禁止
Schleien氏は、反対意見は親の権利や宗教の自由に集中するだろうと予測している。
共和党の州議員のJosh Moore氏(26歳)は、この法案で同性愛に反対する教会が攻撃や法的に危険にさらされるのではないかと懸念している。彼は、親が子どもを教会に連れていき同性愛を思いとどまらせる権利もあるべきだと考えているからだ。
一方Schleien氏は、この法案は表現の自由や宗教の自由の抑圧を目的としているのではないと述べているが、親の権利に関しては、時には制限される必要もあると考えている。
「ただ18歳以下であるからという理由で、誰かがあなたに害を与えるかもしれないことをしていい訳ではない」と彼は述べた。
画像出典:LGBTQ Nation