LGBT成人式2016 「成りたい人になる」180人が新たな旅立ちへ【画像】

LGBT成人式

 LGBT成人式とは?

1月16日(土)、今回で5回目の開催となる、2015年度LGBT成人式が開催されました。
LGBT成人式とは、特定非営利活動法人ReBitが、まだ早稲田大学公認学生団体だった2011年度より行ってきたイベント。

成人を二十歳ではなく「成りたい人になると定義し、年齢もセクシュアリティも不問。ドレスコードは自分らしい格好、というオリジナリティ溢れる成人式です。式典はもちろん、トークショーやファッションショー、学校での開催など、毎年趣向を凝らして新たな顔を見せてくれるこのLGBT成人式、今年度はどのようなものだったのでしょうか。実際に行ってみました。スクリーンショット 2016-01-16 23.18.04

5回目となるLGBT成人式、新たな挑戦

会場へ着いてみると、来場者の姿はスーツにドレス、振袖や袴といったいわゆる成人式らしいものから、カジュアルなファッションまで本当に様々。自分らしい格好でいられる楽しさや、着たかった服に身を包んだ高揚感が伝わってくるようです。

今年度の成人式代表の下平武さんは、今までのLGBT成人式と今回の違いについてこう語ります。
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「今年度は、初めて全国での開催を公募しました。今までにも全国LGBT成人式として日本各地に行ったりはしていたんですが、初開催の時は4ヶ所。公募は今回初の試みで開催規模が今までで一番大きくなりました。」
2015年度LGBT成人式の開催地は、この東京と同日に開催された大阪の他にも、静岡、埼玉、岩手、北海道、鳥取、石川、長崎、長野、愛知の9ヶ所を予定。詳細は公式ホームページをご覧ください。

こうしてLGBT成人式の輪が全国へと広がっていくこと、「それぞれの節目の日として、また思い出してもらえるような一日になったら嬉しいです」と語る下平さんのにこやかな表情に、LGBTがもっとありのままに過ごせる未来を想像させられました。

胸を打たれるコンテンツの数々

今年度のLGBT成人式は「もっとあなたに近い成人式」をテーマに、各テーブルで立食パーティ形式がとられました。わきあいあいとした雰囲気で、その場で友達が出来たと盛り上がっている姿が印象的でした。

サプライズゲストとしてモデル・タレントのIVANさんも登場。スクリーンショット 2016-01-16 23.19.54
会場から歓声があがりました。IVANさんには出演直前に特別インタビューも行えましたので、次回の記事をお楽しみに!

また、地域ごとの成人式と同じように、議員の方々の祝辞と挨拶もあります。スクリーンショット 2016-01-16 23.19.32
祝辞を述べる保坂展人世田谷区長

そして、手話通訳の方が常時ステージの発言を同時通訳しています。スクリーンショット 2016-01-16 23.19.08
セクシュアリティだけでなく、様々なマイノリティに配慮されていることが伝わります。

式典の目玉ともいえる「新成人の辞」では、二組の新成人(計4名)が登壇。一組目はMtFパンセクシュアルの平尾春華さんと、彼女が初めてカミングアウトをしたという従姉妹の美鈴さん。スクリーンショット 2016-01-16 23.20.11
性別違和を感じてから、いつもどこか嘘をついているようで辛かったという平尾さんは、従姉妹の美鈴さんに背中を押されることが多かったそうです。恋愛の相談をした時には「大切なのは人として好きかどうか」と助言をくれ、カミングアウトをしてからも「なりたい自分になれるよう努力しているのが素敵!」と言ってくれた…これらが平尾さんにとって「自分らしく生きていいんだ」と思えるきっかけになったという話に、会場では涙を流す人も。
美鈴さんも来場者に向けて、「見た目だけでなく、中身からキラキラする素敵な大人になってください。」とエールを送りました。

二組目はFtMトランスジェンダーのともさんと、その妹のしょうこさん。小さい頃から、セクシュアリティ以外はなんでも話せる仲の良い兄妹でしたが、昨年思い切ってともさんが自分がFtMであるとカミングアウト。しょうこさんの返答は「知ってたよ。」だったそうです。
しょうこさんは現在小学校の教員を目指して勉強中。ともさんのカミングアウトもあり、「生徒の“ありのまま”を探せる先生になりたい。」と笑顔で語っていました。

他にも祝辞動画やそれぞれの〝ありがとうとおめでとう〟の手紙を読むコーナーがあり、会場はあたたかい気持ちに包まれました。グループ対抗のレクリエーションでは商品をかけてゲームが行われ大盛り上がり。まさに笑いあり、涙ありのイベントでした。

 

あなたにとっての「きっかけ」の日

来場者の中には当事者のご家族の姿も。第一回から毎回LGBT成人式に出席しているというYさんは、FtMの息子を持つお母さん。「今回は(グループ形式で)アットホームで、和やかな感じでいいですね。」と笑顔を見せていました。また、娘に誘われて来たというあるお母さんは「今まで知らなかった世界を知れて良かった。」と晴れやかな表情を浮かべていました。

LGBT成人式は、成りたい人になる、成りたい自分を見つけるきっかけの日。セクシュアルマイノリティであろうとなかろうと、自分らしさを見つけてあらわすことは美しい。登壇者、来場者の笑顔と涙から、改めてそう感じることが出来るのが、今年度のLGBT成人式でした。

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角 亜維子

平成生まれのレトロ育ち。 女子美術大学卒。 幼少期より抒情画やアングラ演劇に親しむ。 憧れの女性像は山口小夜子、イーディ・セジウィック、大島弓子作品のキャラクター。 レズビアンであり、特定非営利活動法人ReBit のメンバーとしてLGBTに関する出張授業や講演にも参加している。 同法人運営WEBサイト「LGBT就活」編集長兼ライター。 雑誌編集インターン、広告会社ライター等を経て現在はフリーランス。 随筆、評論、インタビューからフィクションまで、執筆お仕事募集中。