ゲイのロールモデルが重要な理由

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アメリカ人の友人が実際に体験した出来事がとてもいい話だったので、ご紹介します。

私とアメリカ人の友人との出会い

この友人とは、東京に住んでいた時に知り合ったアメリカ人の友人を介して知り合いました。もともと私の友達は東京で日本語を勉強していたのですが、勉強を終えアメリカへ帰国しました。その後もメールを通して定期的に連絡を取っていました。ある時日本に遊びに来るというので東京で会うことになりました。その時に友人と一緒に日本へ遊びに来た方が今回の体験をした方です。

彼には一緒に結婚をして生活をしているパートナーがいました。もちろんそのパートナーも一緒に日本へ旅行に来ていました。その当時、コロラドでは同性婚が認められていませんでしたが、一つの自分たちのけじめとして、結婚式を挙げ、パートナーとして生活を共にしているというカップルでした。僕も結婚に憧れがあったので、その当時法律で認められていないとはいえ羨ましく感じたのを覚えています。

彼らが日本に滞在中、実際に一緒に過ごしたのは2日間ほどだったので、彼らとはそれほど深い話をすることはですが、その後もfacebook 上で話をしているうちにだんだんと仲良くなりました。そんな彼が飛行機で体験した話です。

少年との出会い

デンバーへの帰りのフライトで席に着くと隣には14歳か15歳くらいの少年が座っていました。この少年は生まれて初めての一人旅で緊張しているようでした。

他の周りの人たちが席に着く間、僕はこの少年と少し話をしました。彼はこれからコロラドに住むお爺ちゃんとお婆ちゃんに会いに行くことや、スノーボードに初めてチャレンジする予定であることを話してくれました。

離陸のちょっと前に、僕はコロラドで待つ僕のパートナーのブラッドに携帯でメッセージを送り、メッセージの最後にはいつものように「Love you Baby」と締めくくりました。その後、その少年はとても静かになり話しかけてこなくなってしまいました。それは僕が送ったメッセージを読んでしまったのが原因だと僕は思いました。そのため、僕は持ってきたipadで何か見ようとヘッドホンを着けました。

すると離陸後すぐに、その少年が僕の肩を突っついてきます。おどおどした素振りで「プライベートな質問をしてもいいですか?」と尋ねてきました。僕は「もちろん、いいよ!」と答えました。そこで彼はこう聞いてきたのです。

「あなたはゲイなの?」

僕は、

「そうだよ、僕はゲイだよ!」

とその少年に答えました。その後、少年は少しの間何かを考えるそぶりを見せた後、こう言いました。

「なぜ聞いたかというと...実は僕も自分がゲイだと思うんだ!」

そして、僕たちはフライトの間中、話をしました。

少年はカミングアウトはいつしたのか、両親や友達の反応はどうだったか、その後の人生は良くなったのか悪くなったのかなど次々と僕に質問を投げかけました。少年は自分がカミングアウトした時、彼の家族がどのように受け取るのかわからないと不安げに語りました。その話をしている時、彼の目にはうっすらと涙が浮かんでいました。

僕は彼にこう伝えました。

「君が誰かに打ち明けると決めた時、何が起きようと関係ないんだよ。君は君自身であることしか出来ないんだ。それはとても未知で暗く怖く感じるかもしれない。その時は難しく感じるかもしれない。でも、人生は短くて、自分以外の人として生きている時間なんてないんだ。自分に誠実に生きるしかないんだよ。」

そして、少年は僕にこう聞きました。

「僕のヒーローの写真を持っておきたいから一緒に写真を撮ってもらえないか。」

と…。

着陸し、飛行機を降りた後、彼が最後にハグをしていいかと聞いてきたので、ハグをした。少年は「ありがとう」と言い、去っていきました。

僕はこの少年、コーディーに素晴らしい人生が待っているように心から願った…

十代のゲイに希望を与えられるロールモデル

10代は自分がゲイである事に一番悩む時期です。この少年が飛行機で私の友人と出会い、たまたま彼がゲイである事に気付き、勇気を出して自分がゲイであることを打ち明け相談できたことは素晴らしいことだと思います。私が15歳の時はそんなこと絶対にできなかったと思います。この少年にはその勇気がある。きっと幸せな人生が待っていると思います。

この少年は私の友人と飛行機の中で出会ったことで、将来に希望が持てたこととと思います。特に日本では10代ゲイの子達にはロールモデルが少ないため、将来に希望が持てない場合も多いかもしれません。

私もそうでした。なぜ自分は生きてるいるのか、生きていて楽しみはあるのか、将来幸せになれるのかとても不安でした。異性愛者には自分の親や、テレビで見るな有名人夫婦などたくさんのロールモデルがいますが、ゲイの子供たちにはロールモデルになるようなカップルはあまりいません。そのため、ポジティブな将来像を持つこと自体が難しいのです。そんな時、ゲイとして幸せに暮らしている人を見ることで将来に希望を持つことができる。友人がこの少年のロールモデルとなり、彼はそれを支えに希望を持って生きていけることと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

高校、大学の6年間をアメリカで過ごしたあと、2004年5月に日本へ帰国。働き始めると同時期に、今のパートナーと日本で出会い、すぐに同棲生活をスタート。 パートナーの出身国であるドイツでは同性婚(正式名所はパートナーシップ)が可能なことから、将来を考え、ドイツへの移住を決意。同棲から10年が経った2014年12月にドイツにて、パートナーシップを行い、 現在は新しい家族(ラブラドール レトリバーのメス)と共にベルリンで暮らす。